【理事長談話】コロナで浮き彫りになった脆弱な医療体制の反省なし 更なる医療費適正化を目論む財務省「建議」

大阪府保険医協会・高本英司理事長は5月28日、財政審「建議」について談話を発表しました。 

理事長 高本 英司

報道関係各社御中

5月21日、財政制度等審議会が「財政健全化に向けた建議」(以下「建議」)を発表した。

医療分野について「建議」は、新型コロナで浮き彫りになった脆弱な日本の医療供給体制への反省は全くない。それどころか、医療現場の逼迫の原因として「諸外国に比べて病院数と病床数が多い」ことで「病院・病床当たりの医療従事者が手薄」となったとして、これが今回の新型コロナで「医療資源が散在し、手薄な人的配置となっているわが国医療提供体制の脆弱さの一端が明らかになった」と結論をこじつけている。

さらに相も変わらず「病床あたり多い従事者を抱えながら新型コロナ患者を受け入れていない医療機関が存在した」と批判。また医療従事者も「一部の医療従事者に負担が集中する」一方で「労働時間が減少している医療従事者も一定割合存在」しているとし、医療資源の最適配分の課題が「(新型コロナの)有事によって浮き彫りになった」とまで言っている。これは全く日本の医療現場の猫の手も借りたい超多忙な実態を知ろうとせず、新型コロナ対応で感染の不安を抱えながらも、感染対策に細心の注意をはらい、勤務調整もしながら日常の地域医療を守っている医療従事者の存在を全く無視した暴論である。

また、新型コロナによる医療機関の「減収」についても、「建議」は「新型コロナに対応していない医療機関にも講じてきた多額の支援」について「その目的と効果に遡った見直しが必要」とし記述し、医療機関の「減収」については全く認めていない態度をとり、“今後は支援しない”という不遜な態度は許すことができない。

今回の「建議」は、新自由主義路線のショックドクトリン策で新型コロナの臨床現場の不安を梃に、地域医療構想(病床削減)、医療従事者の働き方改革、医師偏在対策の三位一体改革を重視し、医療費削減に向け「時計の針を戻すのでなく進める」ことを強調し、「かかりつけ医」の制度化や医薬品の保険給付の見直しも強く求めている。

そして、もう一つ大きな問題は、医療費適正化については、全国一律の診療報酬を「地域ごとの実情を反映できるものとしていく必要がある」とし、大阪府保険医協会がこれまでも再三にわたって反対してきた地域別診療報酬にかなり踏み込んだ記述があることだ。こうした動きは、診療報酬の地域差の是正を求めた先人たちの統一単価実現の闘いの成果に逆行するものである。

今回の「建議」では医療費の公費負担削減が前提となっている。これまでもレセプトデータを分析して都道府県に対して医療費適正化を進めてきているが、今回の「建議」では審査支払機関の業務目的に「医療費適正化」を明示すべきとしている。

医療費適正化の名のもとに日本の皆保険制度の根幹である診療報酬と審査支払機関の本来の目的から逸脱する「建議」に対して強く抗議するとともに、国のこうした動きを全力で阻止する決意である。

2021年5月28日 大阪府保険医協会理事長 高本英司

*お問合せ/大阪府保険医協会事務局 電話 06-6568-7721


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