新理事長よりご挨拶

理事長 宇都宮健弘

大阪府保険医協会は今年で創立60周年を迎えました。この度、高本英司理事長の後任として大阪府保険医協会理事長に就任いたしました。開業医の経営と生活を守り、国民医療や府民の医療・福祉を改善するために取り組んでいきますので、ご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

新型コロナウイルスの国内初感染者が出てから1年9カ月が経過しました。この間、日本政府は国民に行動自粛を呼びかけるだけで、感染症対策の基本である検査・隔離・治療をおざなりにしてきました。その結果、第4波での大阪の教訓は活かされることなく、7月からの第5波で医療崩壊・保健所崩壊が全国に広がってしまいました。そうした中、あろうことか菅義偉元首相は「原則自宅療養」という方針を示し、必要な医療のみならず保健所の健康観察さえ受けられずに自宅で亡くなる方まで生み出しました。科学を軽視して無為無策を続けた政府への国民的批判から逃げ出すように菅首相は9月3日に辞意を表明しました。

政府は「自助・共助・公助、まずは自分でやってみる」と、国民のいのちやくらしを守る政策には背を向けてきました。結果、コロナ禍で生活に困窮する国民が増える一方、大企業の内部留保は766.8兆円と過去最高額を更新し、格差はより一層広がりました。この矛盾を解消するためにも、すべてに自己責任を押し付ける新自由主義から脱却することが切実に求められています。

医療崩壊に陥った原因は、長年の低医療費政策の下で行われてきた公的・公立病院の統廃合や医師・看護師数の抑制、低い診療報酬にあります。それにもかかわらず、感染拡大の新たな波が起きるたびに政府は医療崩壊を引き起こした責任を医療現場に押し付け、医療機関と国民との分断が図られてきました。今こそ医療費抑制策を改めて、日常診療を充実させて緊急時にも対応できるように医療提供体制を構築することが必要です。また、診療現場でのコロナ感染対策への補償も十分ではなく、新型コロナの影響による減収への補填もない中で次期診療報酬改定を迎えます。大阪府保険医協会は毅然とプラス改定を要求するとともに、地域医療を守る活動をより一層進める決意です。

大阪では、これまでの維新政治による公的病院の廃止や公衆衛生機関の統廃合によって医療崩壊が深刻な状態に陥り、自宅療養中に亡くなる方が全国一という事態になりました。今求められるのは業務のひっ迫に喘ぐ医療機関や保健所への増員などの抜本的な対策であり、大阪都構想やカジノ・IRに執着して大型開発を優先する政治を終わらせることです。大阪府保険医協会は国民・府民のいのちと生活を守り、医療や社会保障を充実させる社会の実現を目指します。

大阪府保険医協会 理事長 宇都宮健弘
2021年10月1日


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