報道関係各社 御中

大阪府保険医協会は大阪府と大阪市に対して下記の緊急要望書を送付しました。

大阪府の地域医療を守るための緊急要望

  • 医療機関を区別するのでなく、医療機関で働く全ての人に補償を。
  • COVID-19感染以外の救急医療、日常診療体制の確保を。
  • PCR検査センターの拡充、陽性者受入れ体制の見直しを。

2020年12月11日 大阪府保険医協会

大阪府の感染者拡大に伴い、重症患者を受入れる病床が逼迫している。こうなる危険性は所謂“第一波”が収束に向かうときに、専門家なども指摘し、秋以降の体制整備強化を訴えていた。しかし、大阪府・大阪市は大阪市廃止の是非を問う住民投票を最優先させ(例えば8月の臨時府議会・市議会)、コロナ対策に関わる人材確保や対策も今のこの段階に至って慌てて対応している状態である(大阪市は5月以降半年も対策会議を開かなかった)。しかも、松井大阪市長に関しては住民投票で大阪市存続が決まったにもかかわらず、次の議会で24区を8区にする総合区案の成立に力をいれ、今やるべきコロナ対策で政令指定都市・大阪市としての具体的な方針を責任をもって提案する姿勢が見られない。

新型コロナウイルス(COVID-19)感染対策のためには、重症患者対応の病床を増やすだけでは全く解決にならないことは、介護施設など高齢者施設へのクラスターの多発などの経過をみれば明確である。今求められることは、感染者の早期発見や、そのためのPCR検査センター拡充、陽性者や発熱患者等の受入れ体制の強化を日常診療が滞ることなく進めるために医療や公衆衛生に従事する専門家の英知を結集し、早急に行動に移すべきときである。年末・年始は通常でも地域医療の現場で人手が足らなくなる時期であり、府民に不要不急の外出を控えるよう要請するだけでは医療崩壊は食い止められない。人員と受入れ先をどう確保するのか緊急に対策を講じるべきである。

大阪府保険医協会は6月、8月と2回にわたり住民投票よりコロナ対策を」と強く訴えた。今度こそ、コロナ対策を最優先に党派を超えて知恵を出し合うべきである。住民投票実施に際しては、臨時に両議会を開催している。ならば、2月議会を待たず緊急にコロナ対策のための議会を開催し、医療従事者確保、受入れ先確保のための緊急予算を議論し、早急な対策をうつべきである。大阪府保険医協会は、この間の医療機関へのアンケート調査や医療現場から寄せられた声で浮き彫りになった問題点とその解決のために以下のことを要望する。

  1. 全ての医療機関が地域医療に従事しているなか、COVID-19感染拡大下における医療提供体制を維持するために、全ての医療従事者を対象に支援すること
    大阪府はコロナ患者受入れ病院に患者一人当たり20万円の協力金を出すと発表した。また松井大阪市長も十三市民病院の医療従事者に経済的支援をすると発表している。しかし、COVID-19感染者の受入れ病院、「診療・検査医療機関」などの感染症指定医療機関以外でも、COVID-19感染者または疑い患者に接し、検査の受入れや患者の診断と治療に関わっている。医療機関で働く全ての人が感染への不安を抱いて患者に接している。大阪府・大阪市は、こうした状況を把握し、大阪府民の命と健康を守る全ての医療従事者を対象に支援すること。
     
  2. 発熱外来、COVID-19関連検査を受入れる全ての医療機関と従事者に対して、万が一の時の休業補償と陽性者の待機場所も含めた感染者の受入れ体制の整備を
    大阪府では厚労省の方針のもと、「診療・検査医療機関」の整備を進め、現在1164医療機関が受け入れの意向を示しているとしている。今回の「診療・検査医療機関」整備の国の方針では、陽性者が出た場合も開業医がまず対応することになっている。大阪府保険医協会は大阪府の現状や受け入れを表明した医療機関が抱える疑問や不安、また受け入れをしなかった医療機関の動向などを把握するために11月下旬に緊急アンケートを実施した。その中で以下の実態が浮き彫りになった。

    1. 診療・検査医療機関の9割以上が院内感染、風評被害に不安を感じ、万が一の休業の際の補償(スタッフの雇用も含めて)がない現状に不安を抱いている。
    2. 陽性者が出た場合、受入れ先がすぐに決まらない、決まるまでの待機場所がない等、1医療機関だけでは管理できない実態が寄せられている。
    3. 診療・検査医療機関にならなくても、地域に発熱外来や検査センターがあれば「協力する」とした医療機関は全体で4割近く、大阪市に限っては5割以上ある。今回の「診療・検査医療機関」以外でも行政検査の委託を受けている医療機関も少なくない。

      こうした実態をうけて、Go Toで得られる収入より高い補助金での宿泊施設確保、現在使用されていない公共施設の活用など、陽性者の受入れ体制を整備するとともに、感染者発生に伴う医療機関の休業補償と医療従事者の経済的支援を緊急に検討すること。

  3. COVID-19感染以外の救急救命、日常診療体制の維持のための方策を
    大阪府は、COVID-19感染の治療に携わる病院への支援を打ち出している。しかし、COVID-19感染患者以外の救急救命医療、がん患者など重症者の日々の診療も置き去りにすることはできない。こうした患者の治療を感染対策も含め支えていく“日常の診療体制”確保も喫緊の課題である。感染者の半数を抱える大阪市と大阪府は独自の財源を活用して、こうした診療体制維持・確保に早急に取り組むこと。
  4. 先進自治体の経験を学び、大阪市の緊急対策を早急に講じること
    増え続ける大阪府の新型コロナ陽性者のその半数以上は大阪市である。府内の感染拡大を抑えるためには大阪市の体制整備が急務であるにも係わらず、市内検査センターは未だ4カ所に留まり、検査委託の集合契約も他市町村より大きく遅れをとっている。当会のアンケート結果を見ても、検査数拡大のためには協力医療機関を増やすよりもPCR検査センターを増設する方が現実的である。現在の感染拡大を早期に抑えるためにも、大阪市内各区にPCR検査センターを設置するべきである。また大阪府は取り組みが遅れている府内自治体に対して早期に対策を講じること。
  5. 2次医療圏ごとの介護現場も含めた実態把握を
    大阪府の感染拡大を抑えるためには、陽性者をいち早く発見し、早期に対応することが求められる。十三市民病院や大学病院の実態が報道されているが、地域医療の現場は、どこも同じである。大阪府では2次医療圏毎に保健医療協議会や医療・病床懇話会を設定している。設定趣旨とは違うにせよ、COVID-19感染対策の方針決定に活かすために、大阪府はこうした議論の場を有効に活用し、医療と介護現場の地域ごとの実態把握に努めること。
  6. 高齢者施設対策の強化を
    大阪府の資料でも高齢者施設での感染拡大は顕著であり、こうした施設に対しても感染対策強化に加えて施設利用者、スタッフの定期的に検査を実施すること。
  7. 「Go Toトラベル」の停止を
    多くの専門家や医師会など強く要望しているように、「Go Toトラベル」の停止を国に強く働きかけていただきたい。
    大阪府の資料でも高齢者施設での感染拡大は顕著であり、こうした施設に対しても感染対策強化今、必要なのは、府民に自粛ばかり要請することではなく、大阪府の感染拡大を抑えるための施策を具体的に議論することである。現場の実態を把握し、課題を整理、そして方針を示す。こうしたことを進めるためにも、そしてこれまでの教訓を活かすためにも、国の方針の下に進められてきた緊急時に対応できない体制にした病床削減の方針や、保健所削減の施策の見直しなど、公衆衛生、保健行政の再建も同時に進めるべきである。

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