新型コロナウイルス感染拡大の収束の目途が未だ見えないなか、本格的な冬を目前に日本各地で再び感染者数が増加してきました。大阪府の感染者数も増加傾向にあり、そのなかでも大阪市の陽性率の高さはひと際目立っています。大阪府・大阪市に焦点をあて、現状のコロナ陽性者数、陽性率、現在の検査体制について整理します。

大阪市は大阪府人口の3分の1を占めますが、今年秋口から11月初旬までの間、実施検査数は府全体の検査数の3分の1弱、新規陽性者は府の半分強を占め、陽性率は府平均の倍という比率で、推移しています(下表・下グラフ)。

(表)新型コロナウイルス感染症発生状況(令和2年11月10日 大阪市健康局発出)

(グラフ)大阪市の7日間ごとの検査件数(陰性確認除く)と陽性率(11月8日時点 大阪市健康局発出 一部抜粋)

今年3月4日にPCR検査が保険収載されて以降、すでに半年以上経過していますが、大阪市では高い陽性率にも関わらず検査数は伸びていません。「行政検査の委託」医療機関数が少ないことがその要因と考えられます。同じ大阪府でも、多くの衛星市では、既に集合契約が締結されており、一定数のPCR検査等が実施されています。

大阪市は、42病院(10月末時点)とは個別契約を結ぶ一方で、診療所との契約については、医師会との「集合契約」が合意に至っていないことを理由に、半年以上も個別契約の申し入れを保留にしてきた実態があります。協会にも、会員医療機関から「PCR検査を医師の判断でできない。大阪市は何をしているのか」と声が寄せられました。

大阪市の要求により難航か
行政と府医師会の「集合契約」

この10月より、大阪市と府医師会の間で「行政検査の委託」の集合契約が締結され、大阪市域の医療機関に案内がされています。

府内の他地区に比べて遅れた理由について、日医ニュース等の報道によると、大阪市が初めに示した契約条件に医療機関に対して「患者の入院への責務」や「自宅療養した際の家族を含めた健康管理」といった保健所業務の肩代わりや「医療機関名の公表」などが含まれていたとされており、大阪市の要求で交渉が難航したことが伺えます。

充分なキャパシティの確保を
「診療・検査医療機関」の指定

9月4日に厚生労働省は事務連絡「次のインフルエンザ流行に備えた体制整備について」を発出。これを受けて、大阪府は府内の医療機関に「診療・検査医療機関」の指定を受ける意向を調査しました。

大阪府は11月10日時点で、府内971カ所(病院177・診療所794、11月10日時点)を「診療・検査医療機関」に指定するとしており、大阪市においては355カ所(61病院・294診療所)とされています。

「診療・検査医療機関」は前述の「行政検査の委託」を受けることが前提となっています。この「診療・検査医療機関」は、かかりつけ患者に限り対応する医療機関も相当数含まれているため、今後、増大する発熱患者に対して、現在、どの程度のキャパシティなのか、不明です。

大阪市4カ所異例の少なさ
「発熱外来・検査センター」の設置

厚生労働省は、9月4日通知のなかで「診療・検査医療機関」の指定とともに「発熱外来・検査センター」を設置して、診療・検査体制の整備を図るとしていますが、大阪市の取り組みはこの分野でも遅れています。大阪市は9月の補正予算では、府が決めた大阪市内4カ所の検査センターについて、費用を負担するとし1億4400万円を計上していますが、人口270万都市に4カ所の設置状況は異例の少なさです。

大阪市の行政区の状況も様々です。受け皿となる病院に地域の開業医などが出務して発熱外来に参加する取り組みが進んでいる行政区がある一方、対策の動きが遅れている行政区もあります。なかには、地区医師会が出務する医師の目途をつけたものの、受け皿がなく、大阪市の消極的な対応に苦慮している行政区など、実情が協会に寄せられています。

大阪市には早急に各行政区ごとの状況を把握し、各行政区ごとの対策を取りまとめることが求められます。これは広域行政を担う大阪府ではなく、基礎自治体である大阪市の役割です。


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