10月16日に大阪府保険医協会は、理事長談話「菅首相の日本学術会議への人事介入に抗議する」を発表し、憲法23条で明記されている「学問の自由は、これを保障する」を守る必要性を訴えました。
菅義偉首相は、日本学術会議が8月31日付で推薦した会員候補者のうち6人の任命を拒否しました。しかし、その任命基準については「総合的・俯瞰的」な判断とはぐらかし、拒否の理由は具体的に示していません。現在国会で追及が進んでいますが、矛盾点が次々と明らかになっています。
任命拒否された6人には、安保法制や共謀罪法に異を唱えた学者が含まれており、この点が拒否の理由ではないかという追及も行われていますが、もし政府の政策に批判的な学者を排除するために、候補者の言動や学説を判断基準とするのであれば、従来の研究業績を基準として推薦してきた日本学術会議の民主的な運営自治を、政府自らが破壊することになります。
今回の事態は医師・医学者にとっても無縁の問題ではなく、歴史的には国家政策として医学研究が戦争に利用された731部隊の存在もあります。今回の人事介入は、科学技術を応用し適用する医療分野に携わるものとしても看過することはできません。
理事長談話では、菅首相と政府は、事実経過を全面的に公表し、6人の拒否された会員候補者全員の任命を直ちに実行することを求めています。