第2回 システマティックレビュー・メタアナリシスの活用

第2回目となりました本シリーズですが、今回は「正しい情報に基づいた診療をするための情報源」について、ご紹介します。

皆さんが診断や治療を行う際に、参考にされるのが「診療ガイドライン」だと思います。

多くの疾患に関する診療ガイドラインが出版されていますが、すべてが最新というわけでもありませんし、ガイドラインがないような疾患もあり得ると思います。

診療ガイドラインに掲載されていないような症例と向き合う際にどのような情報を参照していますか?

診療ガイドラインに掲載される元となる情報源がシステマティックレビューやメタアナリシスの結果になります。

対象となる治療法と疾患に関して、単独の研究結果だけでなく、世界各国で実施された研究の結果をくまなく収集し、質が高いと判断された研究をまとめて報告する研究です。

診断法や治療法を比較する介入研究の場合、無作為化比較試験〔RCT(Randomized Controlled Trial)〕が最強の研究のデザインとされていますが、1つのRCTの結果で結論付けるのではなく、複数のRCTを統合して解析した結果は、エビデンスレベルの高いものであるとされています。

診療ガイドラインに掲載されていない気になる新しい治療法に関しては、最新のシステマティックレビューやメタアナリシスに注目してみてください。

医学論文検索サイトPubmedの検索の際に、左側に出てくるARTICLE TYPEでSystematic ReviewやMeta-Analysisに限った検索をすることができます。

私自身がMeta-Analysisの重要性を感じたのは、PSA検査による前立腺がん検診のRCTについてです。

2009年に、NEJM誌に同時に掲載されたヨーロッパのRCTの結果では、検診群の前立腺がん死亡率が非検診群に比べてRate ratioが0.80(95%CI:0.65-0.98)と有意に低かったが、米国のRCTではRRが1.11(95%CI:0.83-1.50)と有意差がありませんでした。

2010年にBMJ誌に掲載された5つのRCTをまとめたMeta-analysisではRRが0.88(95%CI:0.86-1.09)、2013年のCochrane Libraryの報告では1.00 (95%CI:0.86-1.17)と、死亡率に統計的有意な差があるとは言えず、米国のガイドラインや日本の厚生労働省の研究班のガイドラインでも「推奨しない」とされています。

新しいRCTの追加や過去のRCTのフォローアップ期間の延長により、Meta-analysisは更新されています。2018年のBMJ誌に掲載されたSystematic Reviewでは、前立腺がん死亡率減少は0.96(95%CI: 0.85-1.08)と微小であり、検診群における治療や精密検査による合併症や有害事象の発生が高いという結果が報告されています。

Ilic D, Djulbegovic M, Jung J H, Hwang E C, Zhou Q, Cleves A et al. Prostate cancer screening with prostate-specific antigen (PSA) test: a systematic review and meta-analysis BMJ 2018; 362 :k3519 doi:10.1136/bmj.k3519

米国予防医療専門委員会ではこれらの結果を受けて総合的に70歳以上には「推奨できない(D)」、55~69歳には「限られた利益と、有害性の可能性を理解した上で受診の決定を行う(C)」という推奨レベルになっています。


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