【リレートーク「人を診る」③】『大阪保険医新聞』2017年4月25日号1面より


うつのみやクリニック (旭区)宇都宮健弘

AIとヒトの関係を模索する絶好の機会

唐突だが、実は筆者は白黒はっきりさせなければ気が済まない性分である。ごく近しい人しかこのことを知らないので、意外に思う人もいるかもしれないが、映画は甘く切ない恋愛物などにはまったく興味がない。付き合いで誰かと観に行っても爆睡である。残念ながら間違ってもストーリーに涙するということはない。映画は何といってもSFもしくはアクション映画だ。結末が単純明快なものは肩がこらずに楽しめてよい。何を言いたいのかわからないのはごめんなのだ。

車の運転にもそうした傾向がある。安全運転と鈍感をはき違えているようなドライバーには大変申し訳ないがイライラする。いつか大事故に見舞われるのではないかと一応心配しているのだけれども、幸い出くわしていない。

しかし愛車は小さな傷なら数知れず、家族は同乗することを最近とみに敬遠するようになった。ああ、新車を買いたい。

個人的な話はこの辺にして、さてAI(人工知能)である。回りくどいことはすっ飛ばして結論が直ちに手に入るのだから、これは便利である。『大阪保険医雑誌』の2016年2月号や『月刊保団連』2017年1月号にもAI特集が組まれ、現代のトピックスとなっている。

しかしこれらの雑誌を読めば、利点ばかり持ち上げるわけにもいかない事がうかがえる。医療分野に導入されたAIが、臨床や基礎医学の領域で良くも悪くもどんな変革をもたらすのか。医療者にとって代わり、多くの場面で恩恵を被る人々が増えるのか、それとも…。

蛇足だがAIが自ら思考するとはいえども、それはあくまでもデータ処理を通してのヒトの模倣にすぎないと筆者は考えている。AIに果たして詐病は見抜けるのか、はたまた臨床医家が常にそうであるように、思考過程を重視し時に思い悩むという作業ができるのだろうか。

かといってAI自体を全否定するのも違うと思う。当方は恋愛映画に涙しないけれども、AIは物事全般において涙を流さないし、感動もしない。この点を白黒はっきりさせておきたいのは、こんな性分の筆者だけではないと思うのである。いかがだろうか。

AIとヒトの関係性を模索する、そのヒントが来る第7回日常診療経験交流会へ足を運ばれると体感できる。ぜひ多数のご参加をお待ち申し上げている。

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