【リレートーク「人を診る」②】『大阪保険医新聞』2017年4月15日号1面より

岡田眼科 (松原市)岡田 安司

診療で大事なのはやはり「人の言葉」

第7回日常診療経験交流会を開催するにあたり、テーマが「人を診る」と決まった。昨今AIによる診断が話題となっているが、やはり究極の問題は「人」であると思う。確かにAIによって人によるケアレスミスやヒヤリハットは少なくなると期待できるが、それで人々の安らぎは得られるだろうか。
眼科においても次々と新しい診断機器や治療薬が開発され、今まで視機能の改善が見込めないだろうと思われた病気が画期的に改善された。しかしそれによって治療費は飛躍的に上がり、医療崩壊を招きかねない。国民総医療費も上がり、今までのような医療をしている医療機関は、経営が困難になってくる。眼科では基本的な検査である矯正視力、屈折検査、精密眼圧、細隙灯顕微鏡検査、精密眼底検査等が改正の度に点数が下げられ、挙げ句の果てには、丸めにされる可能性まで出てきている。こういった基本的な検査は大変重要で、多くの眼科医はこれによって多くの疾患を発見し、治療に当たっている。
しかし近年高価な検査機器が開発され、それらを使うことにより容易に異常を発見出来ることによって、それらの点数が増加する毎に従来の検査点数が下げられ、新しい高価な器械を購入するように誘導される。その結果、皆がその検査を取り出す頃には、その点数も引き下げられ負のスパイラルに陥る。梯子をかけて糠喜びさせて、それを外すのが国のやり方だが、それに乗るのもいかがなものかと思う。そうやって元を取れないまま、ますます医師は苦しくなっていく。
日常診療経験交流会では、街角の診療所が、決して派手な診療では無く、地道に医療を続けていく、その知恵を出し合って交流できる場であって欲しいと願う。患者さんとは画面を通して相対するのでは無く、直接向き合っているその中で工夫できることはたくさんあると思う。
かく言う私はコンピューター大好き医師ではあるが、診療に関しては対話を大事にしている。患者の目を見ていると不安に思っているその感情が伝わってきて、その不安を解消するにはどのように話せば良いのか、経験から得たものも多い。AIも経験を通じてそのようになるかも知れないと最近言われているが、最後はやはり「人の言葉」だと信じたい。
一人で診療しているとつい独りよがりになりがちだが、交流することでなにか得ることが出来ればそれはとても大事だと思うので、多くの人に参加して頂きたいと思う。


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