AIなど今日的な課題を大いに議論

第7回日常診療経験交流会へぜひご参加下さい
              大阪府保険医協会 理事長 高本 英司

毎日が診療に追われる多忙な中、月日は矢の如く去っていきます。先生方に置かれましては、気を休める間もなく、少しでも日常の診療が充実するように努力されておられると思います。

その苦労を知ってか知らずか、安倍政権は医療福祉政策に対して限りなく冷たい対応です。毎年発表される「骨太方針」の中でも超高齢化による社会保障費の自然増にまで手を突っ込み、限界まで削減しようとする忌々しき事態が続いています。国民は小泉政権以来17年間大変厳しい状況に置かれたままです。

そんな状況ですが、開業医は医療費削減に合わせて診療内容の質を落とす訳には到底いきません。常に新しい知識を会得し、医療技術を磨き、医療制度の改善に向けて努力して、良質な診療を患者さんに保証するのが、一人ひとりの開業医と保険医協会に課せられた使命であると確信しています。閉塞感に覆われた状況ですが、多くの先生方のご要望に応えて、このたび4年ぶりに日常診療経験交流会を開催する運びとなりました。

「人を診るということ」を実行委員会の総意でテーマに決定しました。

今回の交流会は、午前中には従来通り自主的な演題による発表を行います。権威に縛られることなく、日常の診療における工夫や疑問が自由に発表されます。午後の「地域医療における医薬連携」のシンポジウムでは、地域医療における多職種を視野に入れた連携の在り方の討議を深めます。

記念講演はAI(人工知能)に関する話題です。ICT、AIは4年前と比較にならないほど進歩し、私たちの診療にも大きな影響をもたらそうとしています。遠隔診療、治療法や薬の選択、カプセルタイプの内視鏡、ゲノム医療、ビッグデータ化分析、介護用ロボットなど、多岐にわたっています。しかも政府は「選択と集中」政策でこの分野には莫大な予算をつぎ込んでいることから、急速に普及することが考えられます。

「2030年には今ある仕事の49%が機械に奪われる」と予測される中で、私たちの日常診療はどのように形を変えざるを得ないのか。何を大切に残し、何をICTやAIに代替させるのか、真剣に考えるべき時期が到来していると考えます。

「先生と話をしていると元気が出てきた」「次の診療までまた1カ月長生きできる」「先生の手温かいね」といった会話は、どうなるのでしょうか。ヒポクラテスは「人への愛の在するところには、またいつもテクネーへの愛がある」と言いました。「高い倫理観と知性の尊重との美しい結合の表現としてこれは記憶に値する。医術の理想がこれほど的確な言葉で語られたためしをわたしは他に知らない」と評した川喜田愛郎先生の言葉が思い起こされます。まさに今日も明日も「人を診ている」日常とAIの出現をどう実践の中で統合していくかが、問われています。
 今回の日常診療経験交流会は、転換期にある時代に生きる医療人にとって、今日的課題として大いに触発される交流会になるのではと考えています。

お忙しい毎日ですが、万障繰り合わせていただき、6月11日は大阪国際交流センターでお会いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(『大阪保険医新聞』2017年5月5・15合併号より)


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