【理事会声明】「保険証廃止法」にわれわれ医師は服従しない マイナ保険証を今すぐ停止し、マイナ改定法は廃止せよ

報道関係各社 御中

大阪府保険医協会は「マイナンバー法等改定法」成立に対し下記の理事会声明を発表しました。

6月2日、健康保険証の廃止を含むマイナンバー法等一部「改正」法が、自民、公明、維新、国民民主の賛成で成立した。「無保険扱い」となる人をつくり出してしまう保険証廃止を十分な対策も示さないまま採決したことは言語道断であり、われわれ医師はこの法に服従することは出来ない。今すぐの「マイナンバー法等一部改正法」の廃止を求める。

私たち大阪府保険医協会は、保険証の廃止・オンライン資格確認システム導入義務化が医療現場に与える混乱や影響、マイナンバーカードでの保険資格確認が出来なかった場合に「無保険扱い」となるなど国民の医療を受ける権利が奪われるとして一貫して反対してきた。同時に、医療現場から寄せられるトラブル事例などの実態を明らかにし、何度も政府・関係省庁・国会へ届けていた。そうした中、5月12日に他人の医療情報との紐づけ事例が少なくとも7300件報告されていたことが報道され、その後も口座番号登録でも別人との紐づけが発覚するなどマイナンバーカードへの情報紐づけに関する深刻な事態が次々と明らかになった。事態の深刻さから一度は国会審議が延長され、政府は健康保険組合等に総点検を命じるなどしたが、「マイナ保険証」をめぐる一連のトラブルの全容解明が行われないまま採決は行われてしまった。

他人の医療情報が誤登録されていた事例は、それ自体が重大な医療事故であり、患者の健康・命にかかわる問題である。また、他人に医療情報を閲覧されてしまった側からすれば重大な個人情報の流出である。岸田首相、河野デジタル大臣、加藤厚労大臣、松本総務大臣をはじめ、マイナ改定法に賛成した議員・政党は問題の深刻さを理解しているのだろうか。2024年秋に保険証を廃止するスケジュールに固執し、国会審議を打ち切り採決に踏み切ったことに、最大限の怒りを込めて糾弾するものである。

安全・安心な医療への信頼を根底から揺るがし、公的医療保険制度を崩壊させかねない問題が次々と明らかになり、患者・国民、医療現場は大きな不安と危惧を抱いている。マイナ保険証への信頼が大きく損なわれている今、マイナ保険証の運用は一旦停止すべきである。情報登録を行う現場でのヒューマンエラーに問題を矮小化するのではなく、制度設計の不備を認めて今すぐ制度を停止することが何よりも先決である。

マイナ改定法が成立したいま、このままいけば1年数カ月で健康保険証は廃止されてしまう。現政権の無責任な対応から、保険・医療情報の誤登録や「無保険扱い」の大量発生により医療現場の大混乱が避けられないことは火を見るよりも明らかである。国民皆保険制度の確立以降、問題なく運用されてきた保険証をなぜ廃止せねばならないのか。今国会を延長し、直ぐにでもマイナ改定法を廃止するための議論をはじめることを強く求めると共に、国民の医療を受ける権利を守るため、より一層の力を込めて保険証廃止を実施させない運動に取り組んでいく決意をここに表明する。

2023年6月8日
大阪府保険医協会 第17回理事会


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