【理事会声明】問題だらけの中間とりまとめ 健康保険証廃止は撤回しかない

報道関係各社 御中

大阪府保険医協会は健康保険証廃止の問題で下記の理事会声明を発表しました。

問題だらけの中間とりまとめ 健康保険証廃止は撤回しかない

2月17日、河野デジタル大臣、松本総務大臣、加藤厚生労働大臣は「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」を開き、中間とりまとめを公表した。政府は2024年秋を目標に、現行の健康保険証を廃止する方針であり、今国会にマイナンバー法等改正案を提出する見込みである。

中間とりまとめでは、「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を基本とする」と明記した上で、マイナンバーカードを取得しない人や紛失などでマイナンバーカードによるオンライン資格確認を受けることが出来ない人については、保険証の代わりに新たに発行する「資格確認書」(基本は紙)で被保険者資格を確認するとした。また、資格確認書の有効期限は1年を限度として各保険者が設定することとされ、マイナカード利用の意義・メリットや診療報酬による患者負担に差があることなどをわかりやすく伝える努力についても触れられている。しかし、同日の記者会見で加藤厚労相が資格確認書の具体的な運用方法は今後の検討としつつも「資格確認書を希望する理由などを踏まえて保険者が判断し発行・更新していくことになる」と語ったことから、被保険者が資格確認書の発行を求めるには高いハードルが設定され、実質、強制的にマイナンバーカードの取得が迫られることが懸念される。

オンライン資格確認においては保険情報の更新の遅れが課題となっており、患者が正しい被保険者証を提示しているにもかかわらず“無効”と表示されるというトラブルが相次いでいる。この場合医療機関では、保険者への電話確認が必要となるなど窓口業務の負担となっている。また、マイナンバーカードのみの受診でシステムエラーがあった場合、資格確認が行えず患者に一端の10割負担を求めることとなり、診療で重要な患者との信頼関係にも影響がでることが懸念されている。この問題については、保険者の資格情報入力を「事業主による届出から5日以内に行う」などの方針が示されたが、果たして現場は対応できるか大いに疑問である。

マイナンバーカードにおいては、代理交付や対面手続きの簡素化などが盛り込まれた。また、保険証一体化での大きな懸念点だった高齢者施設等でのマイナンバーカードの取り扱いについても、施設長が施設入所者分のマイナンバーカードを管理することを認める内容となっている。いずれもプライバシーの保護を軽視していると言わざるを得ない。保険証廃止まで残り1年余りと期限を切っている中で、国民の個人情報・プライバシーを十分に守ることのできる体制・システムの構築ができるのか。来年秋の廃止ありきで、深刻な課題を抱えたままの見切り発車は絶対に許されない。

保険資格確認は、国民皆保険制度の基盤である。国民皆保険が確立されて60年。その間、紙の健康保険証での資格確認に大きな問題はなかった。国民の受療権にも大きくかかわる健康保険証の廃止はあり得ない。政府に対し健康保険証の廃止の撤回を強く求めるとともに、「廃止反対」の声を更に広げる取り組みを強化していく決意である。

2023年2月22日
大阪府保険医協会 第10回理事会

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