保険証の廃止に断固反対 オンライン資格確認義務化の撤回を強く求める

政府は、健康保険の被保険者証を2024年秋にも廃止する方針を突如示した。今年6月に閣議決定された「骨太の方針」に将来的に原則廃止とすることが盛り込まれていたが、今回発表された政府方針では、時期が前倒しされるとともに、これまでの方針から『原則』がとれ『廃止を目指す』というものに大きく変えられた。国会審議もすることなく「保険証廃止」の期日を2年後と示すのはあまりにも強権的である。

マイナ保険証には多くの問題点がある。まずは、日常的にマイナンバーカードを持ち歩くことによる紛失リスクの増大だ。紛失による再発行やカードの期限が切れた際、手続き完了までの間は保険資格確認ができない。受診が必要となれば全額自己負担となり、患者の受療権を奪うものである。政府はこうした場合も保険診療が受けられるようにすると答弁しているが、新たな制度を創設するくらいなら今まで何の問題もなく運用されていた保険証を残せばよい。保険診療の為の資格確認の方法をうやむやにしたままの方針決定は、医療現場を知らない政府の無責任な対応といえる。

また、マイナンバーカードと医療情報の紐づけは医療費抑制が目的である。マイナポータルの活用により、個人に健康維持・改善の“努力”を求め、医療費抑制を図り、“努力”が足りない場合は給付削減・負担増を迫る可能性があり、「健康の自己責任化」が強く危惧される。また、保険証の廃止、すなわちマイナ保険証の実質的な強制化は政府が長年議論している、保険料負担に見合った給付に抑える「社会保障個人会計」制度の導入が狙いであることは言うまでもない。

医療機関にとっては、オンライン資格確認の導入義務化が大きな負担となっている。大阪府保険医協会が実施した会員アンケートでは、「医師またはスタッフが高齢」「建物の構造上の問題」などで導入が難しく「義務化されれば閉院せざるを得ない」との回答が1割近くにのぼった。導入意向の医療機関からも「設備投資やランニングコストの負担」「窓口の事務負担増」が懸念点として多くあげられている。導入済みの医療機関の約半数が「トラブルがあった」と回答しており、患者とのトラブルに発展しかねない事例も報告されている。

私たちは患者・国民の医療を受ける権利を守るためにも、保険証の廃止に断固反対するとともに、対応できない医療機関を廃業に追い込み、地域医療の崩壊につながる「オンライン資格確認導入の原則義務化」の撤回を強く要望する。

2022年11月12日
大阪府保険医協会主催
『健康保険証守れ!』学習交流フォーラム 参加者一同


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