【緊急談話】次期改定で検討されている「受診時定額負担」は保険外し!―かかりつけ医以外受診の「外来定額負担」導入の呼び水にするな―
大阪府保険医協会井上美佐医療活動部担当副理事長が緊急談話を発表しました。
2021年12月20日
大阪府保険医協会医療活動部
担当副理事長 井上美佐
中央社会保険医療協議会(中医協)は 21年11月21日、紹介状なしで大病院に受診する場合等の定額負担、いわゆる「受診時定額負担」について議論し、保険給付の範囲から一定額(初診時 2,000円、再診時500円)を減額する一方で、同額以上の定額負担を強制的に保険外併用療養費として患者から追加徴収する仕組みを検討した。初診料の一部を保険給付から外して患者負担させることとなり、フリーアクセス権の更なる侵害となる重大な制度変更である。また、健康保険法附則で将来にわたり7割給付を維持するものとするとしており、本来は国会での審議が必要である。国民が社会保障として保険給付を受ける権利を奪うものであり、国民の理解は得られない。「医療機関の機能分化・連携」「勤務医の負担軽減」を隠れ蓑とした保険外しは許されない。
また今回の改定を許せば将来的に「かかりつけ医機能」と結びつけられ、必ずや開業医に対しても「外来受診時定額負担」として提案されることとなるだろう。実際、10年ほど前には「社会保障と税の一体改革」の中で毎回の受診ごとに100円~200円を別途徴収する「外来受診時定額負担」の導入が検討されていた。保団連、医師会等の大きな反対で導入は見送られたが、「持続可能な社会保障」の名のもとに患者負担増、医療費削減を方針にする現政府が諦めたとは思えない。現に今期も開業医に対する外来受診時定額負担を議論の俎上に乗せている。「かかりつけ医以外を受診した場合は初・再診料の保険給付が削られる」という制度が導入されれば患者のフリーアクセス権を大きく阻害することになる。すでに多くの開業医は患者が望むかかりつけ医の役割をすでに発揮しており、その点を初・再診料の引き上げ等で評価すべきである。フリーアクセス権の阻害、診療報酬削減を目的とした制度導入は認められない。
お問合せ/大阪府保険医協会
大阪市浪速区幸町1-2-33 電話 06-6568-7721(担当:上原)