厚労省に提出した要望書抜粋

昨年11月16日に社会保障審議会の介護給付費分科会にて、訪問看護ステーションにおける理学療法士等の割合を下げる提案がされました。これについて「約8万人がリハビリを受けられなくなる」として、日本理学療法士協会をはじめとする三協会(日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会)が昨年11月17日声明文を発表。また、ネット署名を含む計18万8035筆の署名と要望書を提出し、見送られる形と介護現場,なりました。こうした経緯について大阪府作業療法士会会長の関本充史氏にインタビューしました。

リハ職による訪問看護の魅力をきく

大阪府作業療法士会
会長 関本 充史 氏

―はじめに、リハ専門職による訪問看護の実際をお教え下さい。

私は作業療法士ですので、ご利用者の身体機能・認知機能や心理的側面をアセスメントし、基本的動作能力、応用的動作能力、社会的適応能力を維持・改善し、その人らしい生活獲得を支援する職種です。

最近では入院期間が短くなっていることにより、回復期の段階で退院される方が多く、治療と支援の割合を対象者に応じて変えないといけません。主治医の指示のもと、日常生活で出来ること・出来ないことを生活機能からアセスメントし、その人を中心に活動(作業)と環境にアプローチし支援しています。主介護者や関わるサービス事業所へも介助方法や声かけ等、自立支援に向けてアドバイスします。

ここ最近クローズアップされているのは発達障害の方、精神障害の方との関わりです。地域では、ご本人の生活のしづらさや、周囲の人が支援の仕方が分からない等に対しても支援しています。

―訪問看護ステーションのリハ職による訪問が増加してきた背景とは何でしょうか。

介護保険制度が始まったことで自己選択が尊重され、事業所運営できる法人格の幅も広がり、介護保険サービス全体が取捨選択できるようになりました。その中で、訪問看護ステーションも地域でのニーズに対応できるよう広がったことが背景にあります。訪問看護ステーションの人員基準についても、リハ職は実情に応じた適当数配置となっているため流動性や便宜性というところでも広がったと考えています。

また、主治医の先生が訪問看護ステーションへ直接リハビリの指示が出せるという利便性も要因の一つではないかと思います。

多職種連携で地域住民を支える

リハ職による訪問看護の人員配置問題に対するこれまでの議論

―「訪問リハビリテーションこそ生活を支えている」という医師の先生方がいらっしゃる一方で、保険医協会としては訪問リハの実態をなかなか掴めていないのが現状です。リハ職による訪問看護で在宅患者を支えている中で、なぜ問題視されたのでしょうか。

06年の改定でも同じように訪問看護ステーションからの訪問リハが問題視され5割の規制が検討されました。この時に「リハビリ難民が生まれる」と言われて、規制は見送られましたが、「訪問看護ステーションからリハ職が訪問することは如何なものか」という論点として取り上げられてしまったところからきているのだと思います。

人員配置割合が8割以上をリハ職が占める事業所に関しては、本来の訪問看護ステーションとしての機能を果たせなくなることがないように、ガバナンス形成を行い各医療関係団体と協力しながら、国民の生活保全の一翼を担うことが重要と三協会は考えています。

―訪問リハビリステーションの設立についてはどのような状況ですか。

もともと訪問リハビリステーションについては設立したいと表明しており、継続課題として残されていました。復興特区で設立された訪問リハビリステーションでは、福島県や宮城県、岩手県の三カ所で運営しているのですが、主治医の先生が50~60院所あると伺っています。ようやくケアマネジャーや他専門職に認識してもらえるようになりました。しかしながら、一般の方にはまだまだ浸透しておらず、訪問リハビリの資源を使えていないと思っています。

訪問看護ステーションでの訪問リハビリは軽症者の患者さんが多いといったデータがでていましたが、中重度者の方やターミナルの方は自分らしく在宅生活が過ごせるよう支援しています。多様な介入の仕方があるので、多職種の連携をはかり総合的にサービスが提供できる、そういった体系を構築していく必要があると思っています。

―今回、訪問看護ステーションにおける人員配置基準の提案は見送られましたが今後の厚労省の動きや課題があればご教示下さい。

訪問看護の機能特化型の加算要件における2年間の経過措置の件、訪問看護ステーションにおける理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の単価の検討や訪問回数制限の見直しの三点は検討課題となっています。

次の焦点は三年後の診療報酬・介護報酬の同時改定のときだと思っています。再度、人員配置の問題が上がる可能性はありますが、自分たちの職能を守るということだけではなく、第一は「利用者である国民の必要なところに必要なサービスが届く制度設計」を求めることがいま、私たちのやるべきことだと考えています。大阪府においても、大阪府理学療法士会・大阪府作業療法士会・大阪府言語聴覚士会も連携しておりますので、大阪府民にリハビリテーションをより一層推進していきたいと思います。


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