第138回評議員会・拡大役員会 決議

大阪府保険医協会は第138回評議員会で以下の決議を採択しました。

報道機関 御中

決議

元日に発生した能登半島地震は、道路の寸断や長期間の断水などにより、食料品・飲料水の不足、劣悪な衛生環境などが長期にわたっており、災害関連死をいかに防ぐかが重要課題となっている。災害時においても憲法25条が定める健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するため、これまでの教訓を活かした災害への備えと支援・復旧体制の整備とともに、少しでも早く安心したくらしが取り戻せるよう社会保障制度の充実が早急に必要だ。

能登半島北部では、建物の損壊などにより通常の診療を再開できていない医療機関が多く、被災医療機関の復旧・支援も急がれる。そのためには、診療を継続するための原資となる十分な診療報酬が必要不可欠である。
しかしながら、2024年度診療報酬改定はまたしてもマイナス改定となった。コロナ禍で加速した人手不足を解消するため賃上げ対応に重点が置かれたことは医療現場の要望に一定応えたものであるものの、従業員の処遇改善には到底足りない。また、「管理料等の効率化・適正化」による▲0.25%は診療所を標的にしたと言わざるを得ず、診療所経営への大打撃が強く懸念される。
 
医療・社会保障制度が圧縮される一方、軍事費を過去最大の7.9兆円と増大させている。国民のいのち・くらしを守るための予算編成が何よりも求められている。

さらには、先発医薬品の薬価の一部を保険からはずし、選定療養とする事が改定議論の中で決められた。「将来にわたって7割給付を維持する」とした健保法附則に反する重大な改悪にもかかわらず、国会審議さえも通さずに今年10月からの実施を決めたことは許されない。ただでさえ医薬品が不足する中、最適な薬で治療する権利が患者・医師双方とも奪われる国民皆保険制度を揺るがす重大な問題である。
 
また、国民皆保険の根幹である健康保険証の今年12月2日の廃止が昨年末に閣議決定された。マイナ保険証に係るトラブルは現在も続いており、23年10月以降にトラブルを経験した会員医療機関は約6割にのぼっている。このまま健康保険証の廃止を強行すれば、「無保険状態」を作りだしてしまうことは避けられない。真の利便性向上とは程遠い現場を無視した医療DXの推進は行うべきではない。

また大阪では、今回の地震を受けて「膨れ上がる万博関連費用と人手・資材を復興支援にまわせ」と大阪・関西万博の開催中止を求める声が強まっているにもかかわらず、吉村知事は「万博か復興支援は二者択一の関係ではない」と万博に固執する姿勢を示している。そもそも、カジノ誘致の隠れみのである夢洲での万博は実施するべきではない。

万博は4月12日までに中止の決断をすれば、参加国や国際万博協会への補償額は約340億円で済むとされている。まずは万博中止を決断するなど、これまでの政治から転換しなければ、国民のいのちとくらしは守れない。
大阪府保険医協会は、国民のいのち・くらし最優先の政治への転換を求め、皆保険制度を守るための取り組みを全国の先頭に立って進めていくことをここに決意する。

2024年2月3日
大阪府保険医協会
第138回評議員会・拡大役員会


トピックス

  • facebook
  • 書籍販売
  • 大阪府歯科保険医協会
  • 大阪府保険医協同組合
  • オンライン共同購入
  • 全国保険医団体連合会
  • 保険医休業保障共済保険
  • Don't Bank On The Bomb
  • コロナ禍の近畿生活支援・情報発信プロジェクト
ページ上部へ戻る