12/5 中医協「医療経済実態調査」結果に関する安藤副理事長談話を発表しました。

2019年12月5日
大阪府保険医協会
経営税務部担当
副理事長 安藤 元博

経営は悪化、経費節減努力はもう限界
基礎的技術料の大幅引き上げ、消費税「損税」の解消を

厚生労働省は11月13日、来年の診療報酬改定の基礎資料となる、中医協「第22回医療経済実態調査」の結果を公表しました。調査対象期間は2019年3月末までに終了する直近の2事業年度です。

その結果について新聞各紙は、「国公立病院18年度は赤字拡大」(11月14日付朝日)、「病院の利益率2.8%」(11月14日付日経)など、ある程度は病院の経営悪化を報じるとともに、一般診療所の損益率については「プラス12.9%」などと報じています。

しかしこの数字は、法人と個人、無床診療所と有床診療所を合わせた””平均値〟を前面に出すなど、数字の公表方法に偏りがある上に、調査の手法や分析方法についても以前から多くの問題点が指摘されていることはご存知の通りです。

「個人診療所」の平均値と最頻値比較

信頼性に欠ける調査ではありますが、調査結果を検討するため、様々な規模や事業形態がある医療法人ではなく、院長の手元に残る「損益差額」(借入金の返済や設備購入資金等に充てる前の金額)が明確に示されている「個人診療所」の平均値と最頻値を、前回の2017年調査も含めて比較してみました。その結果は(下表)にある通りです。

前回調査で公表された2015年度と今回調査対象の2018年度を比べてみると、医業収益は平均値が▲1.4%ですが、最頻値では▲8.1%と4年間で大きく落ち込んでいます。医業費用は、平均値が▲2.2%、最頻値では▲10.3%です。

損益差額では、平均値が+0.4%の2617万2千円、最頻値では▲1.8%の1738万2千円となっており、平均値と最頻値では880万円もの開きがあります。そして個人立診療所では、この損益差額の中から建物・設備投資等の費用を支出することになるのです。

断じて容認できない「マイナス改定」

 長年にわたる医療改悪で医師の技術料が低く抑えられて収入が減り、その収入が仕入れ等の「モノの代金」に流出する中でも良質な医療を提供するため、日々経費節減の努力をする開業医の姿が浮き彫りになっていると言えます。しかし、個々の経営努力ももう限界に来ています。今回の調査で「国公立病院の赤字拡大」との結果を見てもそのことは明らかです。

2020年の診療報酬改定について、「マイナス改定へ」(11月14日付朝日)などと報じられていますが、断じて容認できません。基本診療料、基礎的技術料を中心とした診療報酬の10%以上の引き上げとともに、医療費総枠の拡大、消費税「損税」の〝税制の枠内〟での解消を強く求めて行きたいと思います。


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