10/8「厚生労働省による再検証対象病院の公表に抗議する」談話を発表しました。

報道関係各社御中

2019年10月8日
大阪府保険医協会
副理事長 安藤 元博

厚生労働省による再検証対象病院の公表に抗議する

厚生労働省は26日、「地域医療構想に関するワーキンググループ」の会合において、急性期病床などを持つ全国1455の公立病院や公的病院(日本赤十字社、恩賜財団済生会等の運営する病院)のうち、再編・統合の議論が必要と判断した424病院の具体名を上げた。

公立病院と公的病院、特定機能病院、地域医療支援病院が検討の対象となり、この大阪でも、民間病院を含む10病院が「再検証対象医療機関」として示された。

この「再検証対象医療機関」は、がん、脳卒中などの疾患や政策医療事業からなる9領域において「診療実績が特に少ない」(要件A)と分類されるか、疾患や医療事業6項目において、近隣に同様の実績を有する病院が在る「類似かつ近接」(要件B)と分類された場合に対象とされる。

大阪府における10病院を見ると、二次医療圏の区分けにより、実績があっても立地が理由で対象とされた病院や、民間病院でありながら対象とされた病院がある。

大分類での実績と二次医療圏により全国の病院を選別し、分類上の実績がない又は近隣に同じ分野の医療を担える病院があるとして病床再編の対象とすべき、というのはあまりに乱暴であり、医療行政として正確さを欠く。

反発を受けてか、厚生労働省医政局は翌27日、「地域医療構想の実現に向けて」とする短文を発出している。その中で、今回の「再検証対象医療機関」の公表は、一定の条件を設定して分析し、再検証をお願いするためのものであるとして、「必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではない」旨を述べている。

そうであるのなら、何故、対象となる病院を「再検証対象医療機関」として指定したのか、また住民への影響を考えなかったのか。

今回の「再検証対象医療機関」候補の公表は、地域医療構想会議での議論等、地域の主体性に任せるとした、従来の姿勢から、一線を超えた行為であるのは明らかである。このような手法は断じて容認できない。

大阪府保険医協会は、不採算分野の医療など、民間医療機関だけでは担えない医療があることも訴えてきた。わが国の医療提供体制の7割は民間資本であり、公的医療機関は3割に過ぎないとされている。この比率は公的医療保険制度を有する先進国では異例である。我が国の民間主体の医療提供体制において、不採算分野の医療をどのように提供するかは、大きな課題である。公立・公的病院の病床削減を強引に進めるべきではない。

その他、地方自治に対する国の介入である点など指摘したい点は多々あるが、こういった問題も含めて、全国には、この大阪府以上に今回の「再検討対象医療機関案」の公表に動揺する地域が多数あると思われる。今回の一方的な公表に対し、地域医療を担う保険医の団体として強く抗議するとともに、これらの地域からの異論や批判に対して、真摯に対応することを併せて要望する。

お問合せは、大阪府保険医協会 電話06-6568-7721(担当/大谷・田川)まで。


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