医療活動部は9月5日、在宅医療における不合理是正について、厚生労働省と懇談いたしました。(大阪保険医新聞 9/25号に掲載)
2019年9月5日
厚生労働大臣殿
大阪府保険医協会 理事長 高本英司
地域医療対策部 部長 嶋田一郎
増加する在宅患者を支えるため、在宅医療における不合理を是正してください
日頃は国民医療の発展にご尽力いただきまして、誠にありがとうございます。大阪府保険医協会は府下の開業医を中心とし、勤務医を含めた約6100人が加入している団体です。保険医協会では国民医療の発展を目指し、様々な事業に取り組んでいます。
さて、国の政策の下に病床削減が行われる中、これまでなら入院加療していた在宅患者が地域に帰っています。当然の帰結として、在宅患者の重症化、診療期間の長期化は避けられません。「人生最後の場を在宅で迎えたい」と希望する患者の声に応えるためには厳しい医療環境の中、医療関係者は必死に患者やその家族を支えています。しかしながら、在宅医療を提供する上で、様々な不合理点が医療機関に負担を与えています。
診・診連携を依頼された側の医療機関にかかる「月1回、6か月以内」の算定制限や訪問看護・精神科訪問看護・訪問リハなどにある介護保険優先の原則、持出し部分が発生しかねない点数設定の特定保険医療材料や、そもそも算定すらできない保険医療材料、衛生材料、看護小規模多機能居宅介護支援事業所などへの30日間ルールなど枚挙にいとまがありません。
こうした不合理は肉体的、精神的、さらには経済的にも医療機関を追い詰め在宅医療からの撤退もすでに始まっています。今後ますます増える在宅患者を支えるためにも一刻も早い不合理是正が求められています。
我々は患者が安心して在宅で療養できる環境作りのため、以下の点を求めます
一.在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の2に設定されている「月1回、6か月まで」の算定制限を撤廃し、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)と同じ取扱いにしてください。
一.訪問看護指導料、訪問リハに対する「介護保険優先の原則」を撤廃し、医療で算定できるようにしてください。難しい場合は、早急に精神科訪問看護と介護の訪問看護の併給を認めてください。
一.特定施設など看護師の配置義務がある施設について、施設の看護師に注射等の指示を行った場合でも薬剤料、特定保険医療材料が算定できるようにしてください。
一.看護小規模多機能居宅介護事業所等への入居者への30日間ルールは撤廃してださい。
一.在宅で使用する特定保険医療材料について、医療機関の持出しとならないように算定要件、価格などを見直してください。
一.ターミナルケア加算に事実上位置付けられたACP(人生会議)について、別途診療報酬で評価してください。