菅首相の日本学術会議への人事介入に抗議する。憲法23条「学問の自由は、これを保障する」を守れ!

理事長談話

菅首相の日本学術会議への人事介入に抗議する
憲法23条「学問の自由は、これを保障する」を守れ!

 菅義偉首相は、日本学術会議が2020年8月31日付で推薦した会員候補者のうち6人の任命を拒否した。この暴挙に対し日本学術会議は、10月2日「第25期新規会員任命に関する要望書」を提出し、拒否の理由説明と6人の速やかな任命を求めた。
 しかし首相は、任命基準を「総合的・俯瞰的」な判断とはぐらかし、拒否の理由を具体的に示していない。任命権者である首相は国民の疑念に当然明確に答えるべきであろう。
 今回の問題の核心は、個々人が学問・研究の到達点を踏まえた上での政府に対する批判を今後も許さないという宣言であり、憲法13条「すべて国民は、個人として…立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」、憲法23条の「学問の自由」に対する深刻な侵犯・挑戦である。将来にわたる良心に基づく学問・研究の自由に対する恫喝になりかねない。否、すでにその危惧が拡大している。
 さらに首相は、10月9日の記者会見で候補者105人の会員推薦名簿を「見ていない」と発言し、事態は一層混迷している。その発言が事実であれば、誰が6人の任命を外したのか、政府への疑問と不信は深まるばかりである。任命拒否された6人には、安保法制や共謀罪法に異を唱えた学者が含まれている。しかし政府の政策に批判的な学者を排除するために、候補者の言動や学説を判断基準とするのであれば、従来の研究業績を基準として推薦してきた日本学術会議の民主的な運営自治を、政府自らが蹂躙し破壊することになる。
 今回の事態は医師・医学者にとっても無縁ではない。過去においては国家政策として生物兵器開発を目的とした731部隊の存在があったが、今日では科学技術の長足な進歩が人類に多くの恩恵をもたらす一方で、軍事利用に転用可能な、いわゆるデュアルユースの倫理的・哲学的な側面からの検討も重要になっている。このような状況下で行われた今回の人事介入は、科学技術を応用し適用する医療分野に携わるものとしても看過できない。
 菅首相と政府は、事実経過を全面的に公表し、6人の拒否された会員候補者全員の任命を直ちに実行すべきである。

2020年10月16日
大阪府保険医協会
理事長 高本 英司


ページ上部へ戻る