保険証の廃止に断固反対 強権的な方針に強く抗議する

保険証の廃止に断固反対 強権的な方針に強く抗議する

 政府は、健康保険の被保険者証を2024年秋にも廃止する方針を突如示した。今年6月に閣議決定された「骨太の方針」に将来的な廃止が盛り込まれていたが、マイナンバーカードの交付率は9月末時点でも5割に届いておらず、マイナ保険証の登録は10/2時点で全人口の約2割にとどまっている現段階で、「保険証廃止」の期日を2年後と示すのはあまりにも強権的である。

 マイナ保険証には多くの問題点がある。まずは、日常的にマイナンバーカードを持ち歩くことによる紛失リスクの増大だ。また、マイナンバーカードのICチップは5年、カードは10年毎に更新が必要であり、手続きのために役所へ行く必要があるなど患者・国民の手間が増加する。紛失による再発行や更新手続きが遅れICチップやカードの期限が切れた際、手続き完了までの間は保険資格確認ができない。受診が必要となれば全額自己負担となり、患者の受療権を奪うものである。また、オンライン資格確認システムの不調等でマイナ保険証での資格確認が出来ない事態の発生も十分考えられる。その際の患者の受療権を守るためにも、リスク管理として現行の保険証は残すべきである。

 マイナンバーカードと医療情報の紐づけには医療費抑制の目的がある。マイナポータルの活用により、個人に健康維持・改善の“努力”を求め、医療費抑制を図り、“努力”が足りない場合は給付削減・負担増を迫る可能性があり、「健康の自己責任化」が大いに危惧される。また、保険証の廃止、すなわちマイナ保険証の実質的な強制化は政府が長年議論している、保険料負担に見合った給付に抑える「社会保障個人会計」制度の導入に向けた土台づくりとなる懸念がある。

 マイナンバーカードの取得は法律で任意とされている。憲法25条の実現を目的とした国民皆保険制度の基盤となる健康保険証を人質に取るようなやり方で、全く異質のものであるマイナンバーカードを強制的に取得させるようなやり方はすべきでない。今回発表された政府方針では、これまでの方針から『原則』がとれ『廃止を目指す』というものに大きく変えられた。個人の判断の余地を残さず保険証を取り上げることは人権侵害である。

 開業保険医の団体である大阪府保険医協会は、患者・国民の医療を受ける権利を守る立場として、保険証の廃止に断固反対する。また、任意といって始めたマイナンバーカードを国会での十分な審議もせずに事実上強制する、今回の強権的な方針に強く抗議する。

2022年10月13日
大阪府保険医協会 第1回理事会


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