コロナ禍の混乱に乗じて進められる検察庁法改定に断固抗議し、国民生活の救済、医療現場への支援に全力を挙げることを政府に求める (理事長声明)

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
法務大臣 森 まさこ 殿

コロナ禍の混乱に乗じて進められる検察庁法改定に断固抗議し、
国民生活の救済、医療現場への支援に全力を挙げることを政府に求める

 自民、公明などの与党は8日、衆院内閣委員会で検察人事に内閣が介入する仕組みが盛り込まれた検察庁法改定案を含む国家公務員法等改定案の審議入りを強行した。
 検察官は国家公務員として行政組織の一員であると同時に、強大な捜査権を有して、刑事訴追の権限をほぼ独占する「準司法官」でもある。犯罪の嫌疑があれば政治家をも捜査の対象とするため、政治的に公正中立でなければならない。そこで検察官は、政治の恣意的な人事介入を排除し、検察官の独立性を確保するため、国家公務員法ではなく検察庁法という特別法で身分が規定されている。
 今回の改定案では、全ての検察官の定年を現行の63 歳から65 歳に段階的に引き上げた上で63 歳の段階でいわゆる役職定年制を適用し、その上で内閣又は法務大臣が「職務の遂行の特別の事情を勘案し」「公務の運営に著しい支障が生ずる」と認めたときは役職定年を超えて、あるいは65 歳の検察官としての定年さえも超えて当該官職で勤務できるように企図している。これは明らかに内閣が人事権を握ることを可能にするものである。
 過去の重大事件の例で明らかなように、検察官の職務はしばしば政権与党との緊張関係を保ちながら遂行されてきた。検察官の勤務延長が政府によって恣意的に運用されれば、検察官の職務遂行の政治的中立性と独立性に重大な疑念が生じ、刑事司法の機能と信頼性に深刻な影響を与える。さらには憲法の基本原則である三権分立と司法権の独立を脅かすことになる。
 現在、新型コロナウイルスの感染拡大という事態が社会全体を覆う中で国民の命と健康が脅かされ、緊急事態宣言に伴う休業要請などで国民の生活・生命が危機に晒されている。そうした国家的危機の中で、混乱に乗じて民主主義に多大な影響を及ぼす悪法の審議を火事場泥棒的に強行することに強く抗議する。この危機的局面で最優先に審議すべきは、国民生活を守るための生活補償や新型コロナウイルス感染拡大を食い止めるための医療提供体制の充実・支援などだ。
 Twitter 上では「#検察庁法改正に抗議します」というハッシュタグがついた投稿が短期間に500 万件以上つぶやかれている。この現象は国民生活の安定に向けた議論よりも不要不急の法案審議を優先するこの内閣に対する多くの国民からの不信任や怒りを意味する。
 政府・与党は現在国会で審議中の検察庁法改定案をすみやかに撤回すべきである。また、新型コロナウイルス感染症の収束まで全力でその対策に当たると共に、この社会的混乱の中で生活が脅かされている国民への救済策と、日夜現場で奮闘している医療現場に対する人的・物的・経済的支援策を早急に実施することを求める。

2020 年5月13 日
大阪府保険医協会
理事長 高本 英司


ページ上部へ戻る