【理事会声明】内閣総理大臣・厚生労働大臣宛に医療崩壊を防ぐための医療・検査体制の抜本的強化などを求める理事会声明を送付しました。

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
厚生労働大臣 加藤 勝信 殿

政府は医療・検査体制の抜本的強化など医療崩壊を防ぐための措置をただちに講ずるべき

新型コロナウイルス感染症が世界的な規模で拡大しており、日本においても多くの感染者が確認されている。先ずは新型コロナウイルスで命を奪われた皆様に謹んで哀悼の意を表します。また、今まさにウイルスと闘っている皆様にも心よりお見舞い申し上げますとともに、1日も早いご回復をお祈り申し上げます。

今、各国政府は外出制限など新型コロナウイルス感染症に対して様々な措置をとっているが、米国や中南米・アフリカ諸国で感染が広がっており、世界全体としては感染拡大は収束していない。日本国内においても「緊急事態宣言」が発令された以降も感染者数・死者数が増加している。

そのような中、安倍内閣は緊急経済対策として総額108兆円の補正予算を閣議決定したが、即効性を伴う予算は20.3兆円に過ぎない。また、医療崩壊を防ぐための「緊急包括支援交付金」として1490億円が計上されたが、これで必要な病床の確保や検査機器・人工呼吸器などを整備できるのか甚だ疑問である。米国は2兆ドル(約220兆円)のコロナ対策緊急予算を成立させ、そのうち1千億ドル(約11兆円)が病院など医療機関への緊急補助、160億ドル(約1.76兆円)が医療機器への補助となっている。日本においても大幅な予算措置が必要であり、医療現場への本格的な財政支援が求められている。

医療現場では、マスクなどの防護具が不足して基本の感染予防すら危ぶまれる中、感染拡大や重症化を防ぐために日々の診療が懸命に行われている。ところが、PCR検査が必要と診断されている患者がいるにも関わらず検査が一向に進んでいないのが現状である。2月・3月の「帰国者・接触者相談センター」への全国の相談件数は31万3475件だが、PCR検査を実施した件数は1万2595件でわずか4%に過ぎない。全国で保健所の機能が麻痺しており、大阪市では1カ所しかない保健所に検査要請や問い合わせが殺到し、他部署の市職員が電話窓口で「検査に7日から10日かかる」「容態が悪くなれば救急車を」と通常では考えられない対応をしている。政府はただちに医療現場の実情を把握し、各自治体などが設置する発熱外来への支援やPCR検査の実施体制を早急に強化すべきである。また、新型コロナの感染回避の影響で患者数が大幅に減少しており、地域医療の維持のために医療機関への財政的補償や、休業を余儀なくされた場合の休業補償が必要である。

そもそも、これほどの医療崩壊、保健所崩壊といわれるほどの状況になった元凶は、政府によって進められてきた医療費抑制策に拠るものである。1992年には852カ所あった保健所を2019年には472カ所まで大幅に削減し、国立感染症研究所の人員削減、病院の統廃合や病床数の削減など、歴代自民党政府の責任は明らかである。それにも関わらず、安倍首相もマスコミもここには全く触れない無責任な態度に終始している。安倍首相は“補償なき要請”をするのでは無く、過去の医療政策の過ちを認め、その上で医療機関への財政的補償や病床確保などの対策を進めるべきである。さらに、大阪においては市立病院や公衆衛生研究所などの統廃合を進めてきたことにより事態のさらなる悪化を招いている。「二重行政」論に固執してこのような事態を招いた大阪維新の会の責任は重大である。

大阪府保険医協会は第一線医療を担う医師団体として、改めて政府に対して、安心して診療を行うためのマスクなどの個人防護具を緊急に医療機関に提供することや、PCR検査の実施体制強化を強く求める。また、国民の命と健康を守る医師団体としての使命を自覚し、感染症の収束に向けて全力を挙げて奮闘することを改めて表明するものである。

2020年4月23日
大阪府保険医協会第13回理事会


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