「高齢者負担2割化」阻止の山場 2年後の実施を狙い「患者負担増」提案続出

財務省は財政制度等審議会で「後期高齢者の2割負担導入」などの医療制度改革を実施すべきだという考えを示しています。政府による全世代型社会保障検討会議でも、患者負担増を含む医療制度改革について、年末までに取りまとめ2022年度の実施を行う方針が明確化されています。これにより必要な医療を受けられない患者が増加することが懸念されています。

政府による全世代型社会保障検討会議では、「一定の所得」がある75歳以上の医療費窓口負担「2割化」の導入について、年末までに取りまとめる方針を既に打ち出しています。10月8日に行われた財務省の財政制度等審議会(以下「財政審議会」)でも、この「75歳以上の医療費窓口負担2割化」について「可能な限り広範囲で導入すべき」「2022年度までに実施すべき」との考えが示されました。

2割負担の対象となる「一定所得」については「年収240万円以上~383万円未満」を対象にする案が厚労省内で上がっていると報道されています。この基準に基づけば、75歳以上の十数%に相当する約190万人が窓口負担「2割」となり、対象者が支払う医療費は年間3万5千円程度増えると試算されています。

さらに、11月4日に行われた与党による財政再建推進本部小委員会では、2割負担の対象を年収156万円以上に拡大し、75歳以上の約6割を「2割負担以上」にすべきという意見も出されており、負担増の対象者は、歯止めなく広がっていく危険性があります。

厚労省検討会議の「格下げ」で「医薬品保険外し」加速の恐れ

「財政審議会」では、医薬品の保険給付範囲を見直すことについても言及されました。これまで保険医協会の運動などで見送られてきた、花粉症治療薬や保湿剤などの保険外しについても改めて今後の検討例に入れられています。また、薬の保険外しの運用案として、OTC化済医薬品を処方する場合に、医薬品だけ全額自己負担とする枠組みの導入を挙げています。

この動きと関連して、10月28日に厚労省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」(以下「評価会議」)の実質的格下げ案が了承されたことに注意が必要です。

「評価会議」ではこれまで処方薬を市販薬に転用するスイッチ化の可否について判断していましたが、今後はその判断を行わないことが決まりました。 

政府の規制改革会議は「スイッチ化が進まない原因は『評価会議』にある」「メンバーが医師に偏り過ぎ」「議論がリスク論に偏っている」などと批判しており、閣議決定された規制改革実施計画で見直しが明記されていました。「評価会議」は今後、課題や論点の整理に留め、スイッチ化の判断は薬事・食品衛生審議会に委ねるとしており、メンバー構成の見直しも決まっています。

医療側の構成員からは、副作用の実態や濫用について懸念する意見も出されましたが、今後は逆にこれまで「不可」とされてきた成分についても再検討しやすくするような仕組みが導入される予定です。スイッチOTC化の拡大で受診遅れによる重症化や、薬の保険外しに向けた流れが一層進められる恐れがあります。

「財政審議会」では他にも、紹介状なしで大病院を受診する場合の「定額負担」について対象病院の拡大や負担の増額など、医療費適正化の名のもとに医療制度改悪に向けた多くの提案がなされています。

「患者負担増」阻止に向けて請願署名にご協力ください

保険医協会では、こうした医療制度改悪や患者負担増の動きに対して、署名や厚労省交渉等を行い、中止を求める運動を行ってきました。

患者負担はすでに限界であり、これ以上の負担増は受診抑制を加速させ、必要な医療が受けられなくなることが必至です。

保険医協会では現在「医療・介護の負担増の中止を求める」請願署名に取り組んでいます。是非、運動にご協力ください。


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