自民党の菅総裁が9月16日の臨時国会で新首相に就任し、菅内閣が発足した。安倍政治の継承を訴えた菅氏は、目指す社会像として「自助・共助・公助」を掲げているが、コロナ禍で国民生活が窮しているときに自助努力を求めるなど、政治の責任放棄といわざるを得ない。安倍政権は医療・介護の自己責任を強調して患者負担増や病床削減、介護サービスの打ち切りを推し進めてきた。新しい政府は今こそ憲法25条の精神に立ち返って社会保障を充実させる路線に転換すべきである。
医療現場では、新型コロナの影響で患者数が大幅に減少し、医業収入減が続いている。感染対策の費用には一定の支援金が給付されるが、医院経営を支えるために国として抜本的な財政措置を行い、地域医療を守る必要がある。
このようなコロナ禍の中、なぜ大阪市廃止を問う住民投票を行うのか。大阪維新の会は「二重行政」論で市民を分断し、住吉市民病院廃止や公衆衛生研究所の統廃合を強行した。効率や営利を最優先する新自由主義の政治では国民の命や健康を守れないことがコロナ禍で明らかになったが、維新の会は新自由主義路線を改めないばかりか、再度の住民投票で「大阪都」構想を何としても押し通そうとしている。この間、大阪市は新型コロナ対策では「バーチャル都構想」と称して市としての独自施策は放棄し、PCR検査の拡充にも取り組んでこなかった。大阪府市は「都」構想に固執するのではなく、コロナ対策を最優先にすべきである。
大阪府保険医協会は、この問題が単に大阪市だけの問題ではなく、大阪府全体の将来に関わる重大問題と位置付けて「大阪市廃止ノー」の姿勢を鮮明にし、大阪市解体「反対」が多数となるよう会内外に広く呼びかける。住民投票で再び勝利して今度こそ「都」構想に決着をつけよう。
2020年9月26日
大阪府保険医協会 第59回定期総会