大阪市廃止ではなくコロナ対策を
住民サービス切り捨ての「都」構想に絶対反対
5年前の2015年5月17日、大阪府保険医協会は「大阪市廃止に反対」の立場で住民投票にのぞみ、結果は賛成が69万4844票、反対が70万5585票で大阪市廃止・分割は否決されました。「二重行政」論をふりまいて市民を分断し、住吉市民病院廃止や公衆衛生研究所の統廃合を強行してきた維新政治に対する歴史的勝利となりました。今、コロナ禍で医療・介護現場や市民生活を支える施策が喫緊の最重要課題となっている中、「なぜ住民投票なのか?」大きな疑問を抱かざるを得ません。大阪府・市は「大阪市廃止」ではなくコロナ対策に全力を注ぐべきです。
前回の「特別区設置協定書」では大阪市を5つの特別区に分割する案でしたが、今回は特別区を4つにする案です。特別区制度案は基本的には5年前と変わっておらず、バージョンアップどころか何のメリットもない協定書となっています。新型コロナの影響で大阪メトロの収益が激減していますが、「特別区設置協定書」の財政試算にはまったく反映しておらず、「特別区は黒字」にまったく根拠はありません。特別区が赤字の見通しとなる中、市民プール24カ所を9カ所に、子育て支援活動を24カ所から18カ所にするなど、住民サービスの大幅削減が財政シミュレーションに盛り込まれています。さらに、大阪市の財源の65パーセントは府に吸い上げられるため、子ども医療費助成制度の対象年齢が引き下げられるなど、なおいっそうの住民サービス切り捨て・後退が必至です。特別区が設置されると、大阪市に隣接する10市(堺、豊中、吹田、摂津、守口、門真、大東、東大阪、八尾、松原)は特別区への編入が法律上可能になります。「都」構想はけっして大阪市だけの問題ではありません。
この間、大阪市は「バーチャル都構想」と称して市独自のコロナ対策は何も手を打たず、PCR検査の医療機関委託も受け付けない状態が続いています。医師が必要と判断した検査は実施できるように市として早急に対処するべきです。また、「特別区で保健所を4つにする」といいますが、特別区設置は2025年1月であり、5年も放置せずに保健所機能を今すぐ充実させるべきです。
今回の住民投票にあたり、大阪府保険医協会理事会は「大阪市廃止ノー」の姿勢を貫き、特別区制度(いわゆる「大阪都」構想)の問題点を明らかにして、11月1日に投開票される住民投票で「反対」の意思表示をすることを広く呼びかけます。
2020年9月24日
大阪府保険医協会理事会