大阪府保険医協会は第56回定期総会で以下の決議を採択しました。
総会決議
憲法の精神に則った国政を実現し、医療・社会保障制度を発展させよう
9月28日、安倍首相は臨時国会の開会冒頭に衆議院を解散した。国民が真相解明を求める森友学園・加計学園問題や南スーダン日報隠ぺい問題の疑惑隠しのための解散であり、国会を私物化する暴挙である。こうした政権の動きに対し、新党の立ち上げや民進党の実質的な解党などが起こり政局は混乱を極めている。国民不在による議席欲しさの離合集散は許されるものではない。
大義もない解散・総選挙であるが、安倍首相は争点の一つに2019年10月の消費税10%増税を予定通り行い、子育て施策への財源にあてると発言している。またしても社会保障を理由に消費税増税を国民に迫るものである。さらには、社会保障制度は“高齢者施策が優先されている”と世代間対立を煽る発言をしていることも看過できない。
2012年12月に第2次安倍内閣発足後、経済政策が最優先で行われてきたが、国民生活は一向に良くならず、格差・貧困問題は全世代において深刻化・多様化しており、アベノミクスの失敗は明白である。逆進性の強い消費税の再増税は中止し、所得再分配機能を十分に発揮させる税制への転換、社会保障の充実を強く求めるものである。
国民の生活を支える予算を圧縮する一方で、北朝鮮による危機を煽り立て防衛・軍事費は膨張し続けている。北朝鮮のミサイル発射に強く抗議することは当然だが、日本政府に今求められているのは防衛・軍事力の強化ではなく、「対話による解決」の外交努力である。
大阪においては、福祉施策が削減される一方で、カジノ・万博誘致などの大型開発に巨額の財政が投入されている。さらに、松井大阪府知事・吉村大阪市長は15年5月の住民投票の結果を無視して再度“都構想”を持ち出し、大阪市解体を議論する協議会を立ち上げた。これに対し、9月24日投開票の堺市長選挙では、堺市つぶし反対・維新政治ノーを掲げた現市長が再選され、堺市民によって再び“都構想”ノーの審判が下された。また、現職の地道な住民施策充実の実績が支持されたことから、自治体においても住民から求められているのは医療・福祉制度の充実であることが改めて浮き彫りになった。
医療・介護現場では、小泉政権以来の診療報酬マイナス改定によって、人員確保や医療水準の維持が困難になってきている。また、低い技術料は医師の過重労働や現場の疲弊につながっている。過去のマイナス改定分を取り戻し、患者・国民に最適な医療を提供するためにも10%の引き上げは当然の要求として政府に強く訴えていく。
私たちは、憲法9条の改憲に執着する安倍政権に総選挙で審判を下し、憲法第25条の精神に則り国民一人ひとりが尊厳を持って生きられる社会の実現を目指し、安心・安全な医療が提供できる制度を守り、発展させていくため秋の大運動を進める決意である。
2017年9月30日
大阪府保険医協会
第56回定期総会