【理事会声明】患者の健康確保上から極めて問題が多いリフィル処方の導入の撤回を求める

大阪府保険医協会は、今回の診療報酬改定において、1枚の処方箋で一定回数繰り返し使用できる「リフィル処方箋」の導入について1月13日の理事会で議論し、以下の声明を17日発表いたしました。

患者の健康確保上から極めて問題が多いリフィル処方の導入の撤回を求める

2022年度の診療報酬改定において、リフィル処方箋の導入が盛り込まれた。1月12日の中医協総会で出された「これまでの議論の整理(案)」には、『症状が安定している患者について、医師の処方により、医師及び薬剤師の適切な連携の下、一定期間内に処方箋を反復利用できるリフィル処方箋の仕組みを設ける』との文言が入り、リフィル処方箋による処方を行った場合の処方箋料の要件の見直しにも触れられている。

政府はリフィル処方の導入により100億円程度の医療費削減を見込んでいる。医療現場からは、医療機関の再診料、処方箋料の減少が見込まれることから、特に、慢性疾患患者を多く抱える医療機関、診療科への影響が大きいと考えられる。

国民の中には「受診せずに薬局に行くだけでいつもの薬がもらえて便利」と考える方もいるだろう。しかし、リフィル処方箋の使用が想定される慢性疾患の患者は、医師による診察及びきめ細かな指導管理が必須であり、肝機能・腎機能など代謝機能のチェック、また感染症・合併症の兆候や重篤疾患の初期症状など微細な容態の変化に迅速に気付き的確に対処することが不可欠である。現在の中医協の議論では、リフィル処方後翌月以降の処方(調剤)は薬剤師(薬局)によるモニタリング(必要に応じて受診勧奨)が想定されている。事実上、薬剤師に病態の診断を求めるもので、薬剤師に与えられている役割の範疇を超えており、リフィル処方箋の導入は、患者の健康確保上から極めて問題が多い

また、導入された場合、オンライン診療の拡大と共に患者の“利便性”と称し、外来医療費の抑制を図るとともに医療関連ビジネスの収益拡張を進める狙いがみえる。

コロナ禍で電話再診が増え、処方の長期化も一層進んでおり、患者の病態管理がより難しくなっている。患者・国民のいのち・健康を守るという視点からの議論が第一であり、利便性の向上ましては医療関連ビジネスにつながる方向に議論が引っ張られている状況で結論を出すことは避けるべきである。現時点でのリフィル処方の導入は到底受け入れられない。導入を撤回すべきである。

2022年1月17日
大阪府保険医協会理事会


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