(理事長談話)“民間病院の受入れ率が低い”という報道について
大阪府保険医協会は新型コロナウイルス感染患者の民間病院の受入れをめぐる報道などについて下記の緊急の理事長談話を発表しました。
なお、新型コロナウイルス感染の受入れ状況について大阪府内の民間病院の実態を把握するため、府内民間病院を対象に緊急アンケート調査を今週実施します。同時に国や大阪府に対しては引き続き医療機関への支援体制や検査体制確保などを求めていく所存です。
今週中に府内病院の受入れ実態調査を予定
政府の感染症法改定の議論のなかで、コロナ感染症患者の受け入れ勧告に応じない病院に対して、病院名を公表するなどの措置が検討されていると各紙が報じている。
また大阪府においても、「すべてとは言わなくても、民間でコロナを受け入れている病院の比率は低い」(1/15府知事囲み会見)との認識が示され、テレビの報道では民間病院の受入れがいかに少ないかというグラフを繰り返し放映することで、二次救急医療機関をはじめとする病院のコロナ感染症患者受け入れ対応に不当に風当たりが強くなりつつある。
これらの病院の多くは、感染防止対策を行いながら、発熱外来を行ったり、後方病床としての役割を果たしたり、救急医療等を維持したりする病院であり、困難な事情を抱えながらも、日常診療を維持することで地域医療を支える役割を果たしている病院である。
また、大阪府の新型コロナ感染症患者受入病床に登録していなくても、PCR検査を実施し、新型コロナウイルス感染が疑われる発熱患者や新型コロナウイルス感染症患者を一時的に受け入れている民間病院の声が届けられている。
今、日本全体が一丸となって克服しなければならない新型コロナウイルス感染症の感染拡大だが、病床の稼働率が前提となる余裕のない診療報酬、公立・公的病院の統廃合、急性期病床削減を進める国の政策のツケは大きい。その政策の誤りを反省せず、民間病院攻撃に繋がる一方的な国や大阪府の方針は、国民と医療機関に責任を転換し、さらに国民に“分断”を持ち込みかねないもので強い憤りを感じる。
国や大阪府は、これまでの政策の過ちを真摯に受け止め、十分な補償と情報提供、新型コロナウイルス感染防止対策への国民・府民の主体的・積極的参加を促す施策をとるよう、強く要望するものである。
2021年1月19日
大阪府保険医協会
理事長 高本英司