カテゴリー:透視
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一部負担議論からみえる国の不見識―根底にある「疾病自己責任・過度な受診論」
10月は様々なものが一斉に値上げとなり、食品だけでも6千品目を超える見通しだ。さらに国は、一定の収入がある75歳以上高齢者の医療費窓口負担をこれまでの〝倍〟にした。事前に保険料を払っているのに、さらに負担させる制度が「保険」といえるだろうか。 患者は受診後の支払いができないと判… -
「リフィル」で状態悪化等を懸念―「利便性」で片づけられない危険な狙い
2022年度診療報酬改定において、2月9日に中央社会保険医療協議会(中医協)で答申が行われ、湿布薬における「理由を記載せずに処方できる1回あたりの枚数上限」が現行の70枚から63枚となる事が明らかになった。 中医協ではこれまで「湿布薬処方の適正化」として1回35枚までを原則とす… -
運動で社会の〝世直し〟を勝ち取ろう―窓口負担2倍化反対署名へご協力を
3年目に及ぶコロナ禍は未だ収束の兆しを見せていない。ダイヤモンドプリンセス号での対応をはじめ「GOTO」「イソジン発言」「五輪開催」など、国や大阪府・市の対応には大きな問題があった。医療をよく知らない政治家が、思いつきのような策を打ち出しても効果はほとんど上げられず、逆に医療現場… -
民主主義の発展に不可欠なツール ―いま、改めて「野党」の意義を考える
昨年秋の衆議院選挙の頃から「野党は批判ばかり」という非難が与党や一部のメディアなどで盛んに論じられた。コロナ禍で疲弊している一般市民は与党に対しても野党に対しても信頼感が持てない状況である。 しかし一方で、あるメディアは野党の積極的な活動を報じている。「野党は政権への批判と一体… -
会員の要求に基づく1年間の旺盛な活動を振り返る
今年もコロナに翻弄された1年だった。収束の期待は見事に打ち破られ、感染力の強い新変異株「オミクロン株」に身構えながらの物騒な年明けとなる。日常診療の様々な環境変化や診療報酬改定等に対応すべく、保険医協会は準備を怠ることのないようにしたい。そのためにもこの1年間の旺盛な協会活動を保… -
医薬品は健康を守る大切なツール 国が果たすべき適切な管理責任
後発医薬品は、増大する医療費の削減対策として1990年頃から注目されてきた。初期の頃は品質や安定供給の面から後発品が忌避されがちであったが、診療報酬による国の強力な誘導のもと、特許切れの処方薬のうち約8割が後発品に置き換わっているのが現状である。 2020年12月に後発医薬品メ… -
女性議員割合OECDで最下位 選挙結果に見るジェンダー問題
今回の衆議院選挙は各党とも準備期間が短かかった。しかし、停滞しているジェンダーフリー推進のきっかけとなり、社会に活力を与えるだろうと期待もされていた。 選挙の争点はコロナ禍問題、ジェンダー問題、気候変動問題などであった。今回は特にジェンダー問題に目を向けてみたい。 コロナ禍が… -
新型コロナ禍で露呈する行政の「不合理」と「矛盾」
この間テレビ番組に度々出演する吉村大阪府知事だが、発言内容が新聞ではあまり掲載されないことに気がついた。根拠が薄弱で、活字にし難いためではないか。 そして、府知事の対応は「民主的な手続きを踏まない政策決定が多い」という点で首を傾げたくなる。緊急事態宣言やまん延防止重点措置の要請… -
ポストコロナ社会に向けて新たなルール作りの議論を
ポストコロナの生活は変わらなければならないだろうとは、なんとなく誰もが思い始めている。ウーバー・イーツはあっという間に新業態となったし、在宅テレワークも当たり前になりつつある。 エッセンシャル・ワーカーという耳慣れない言葉も、医療・介護をはじめ「社会に基本的不可欠な労働が存在す… -
学術会議問題の背景に潜む「法の支配」の軽視
日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人の任命を菅首相が拒否した問題は、過去に例のない異常事態である。6人は前内閣に批判的な発言をしたことがある。総合的、俯瞰的、バランスといった、あいまいな言葉の裏に、異論を唱えるものを許さず、研究者とその集団を従順なものにしようとする思…