大阪府保険医協会 第127回評議員会 決議
- 2018/9/12
- 私たちの考え
評議員会決議
今回の診療報酬改定は、本体はプラス0.55%とされたが、私たちが要求した初・再診料など基本技術料の引き上げはなかった。医療の改善のためには初再診料、入院基本料の大幅な引き上げこそ必要であり、本体プラスでも、医療機関全体の底上げには及ばず、今回の改定内容は到底納得できるものではない。
来年10月には消費税が10%に引き上げられるが、最近になって診療報酬での補填率についての厚労省のずさんな調査結果が明らかになった。そもそも、診療報酬で補填するには無理があり、ゼロ税率の適用こそ損税問題解決の有効な方法である。国民生活において無貯蓄世帯割合が増加しており、家計消費も落ち込んでいる中、消費税率の更なる引き上げは絶対に許されるものではない。また、骨太の方針2018では、後期高齢者の負担割合の2倍化などが示されており、高齢世帯の唯一の収入である年金が年々減額される下、消費税増税とともに、医療も介護も負担増では、尊厳ある暮らしが到底できるはずがない。
先の通常国会では、65%の国民が反対しているカジノ法が成立した。大阪府・市は、万博を隠れ蓑にカジノ誘致に前のめりになっている。万博・カジノ誘致に莫大な府市財源を使う一方で、医療にかかるためのセーフティーネットとしての福祉医療費助成制度を今年4月に改悪し、障がい者・難病患者のいのちと暮らしに深刻な影響を与えている。来年の統一地方選挙、府市ダブル首長選挙に向けて、社会保障・医療を争点に押し上げるべく他団体と共同した取り組みを一層進める。
次の国会では、大阪北部地震と西日本豪雨が立て続けに起きるなど、自然災害による被害への救済対策も不十分な中、安倍首相は改憲を目論んでいる。自民党改憲案は、国の責任をあいまいにし、国民の権利を制限する内容が多く含まれており、各種世論調査でも、国民は安倍政権下での改憲を望んでおらず、苦しい生活実態を改善する政策の実行を強く望んでいる。来年の参議院選挙に向けて、社会保障・医療の充実を要望する声を大きくしていくことが求められている。
通常国会期間中、官僚のセクハラ問題や与党国会議員の差別発言など、基本的人権の侵害に直結する問題が数多く起きた。また、安倍首相の“おともだちのための政治”と化している国政・国会運営に国内外から強い批判も上がっている。
貧困問題が深刻化する中、必要な医療を受けられない人が増えており、憲法25条の生存権に立脚した安心・安全の医療制度を確立・発展させるために、全国の保険医と連携して、患者負担の軽減を求める署名をはじめとする秋の取り組みを強化・推進する決意である。
2018年9月8日
大阪府保険医協会
第127回 評議員会
連絡先:大阪市浪速区幸町1-2-33(電話)06-6568-7721
大阪府保険医協会事務局 田川・坂元