TPP批准を国会で承認しないことを求め大阪府保険医協会が理事会声明を発表

大阪府保険医協会は、衆議院TPP特別委員会で、TPP批准について強引な採決行なわないよう求める以下の理事会声明を発表しました。

政府は衆議院TPP特別委員会で強引な採決をするな!!

日本の経済主権を日米の多国籍企業に明け渡すことが前提になっているTPPは、取りも直さず国民の生活を多国籍企業の利潤増殖活動に従属させることである。

米国のノーベル経済学受賞者であるジョセフ・E・スティグリッツ氏は「TPPは99%の国民の生活を犠牲にする」ものであり、ある国の大統領に対して「あなたは医者になるときにヒポクラテスの誓いをたてましたよね。人を傷つけるな、というあの誓いです。この協定に署名すると、その誓いを破ることになりますよ」と警告を発した。

すでに日本ではそのような兆しが自給率から見て取れる。食料自給率はカロリーベースで39%、木材の自給率は31%、牛肉の自給率は10%、全エネルギーの自給率は4%、石炭自給率はゼロ%。いかに深刻かは数字が示している。

このような状況下で、国の形を変えてしまうとされるTPPにも関わらず、医療福祉分野ではまだ事態の深刻さに気付き行動に立ち上がっているのは一部である。理由は政府の国民だましにある。12カ国間のTPP交渉の内容がまったく知らされず、やっと公開された協定書は8400ページもあり、日本語訳は一部のみで、重大な誤訳もあるお粗末な状況だ。また交渉の当事者であった甘利前TPP担当相の参考人招致は行われず、日米交渉過程の資料は「のり弁」と揶揄される黒塗り資料であり、政府の姿勢は無責任そのものである。

この様な中でTPPの国会承認が強行されようとしている。

非関税障壁として狙われているのは、私たちの診療所・病院・介護福祉に密接に関連のある国民皆保険制度、共済・年金制度、生命保険のサービス部門と薬価・新薬開発など知的財産分野である。

オプジーボがそうであるように、高薬価維持、特許期間延長、データ保護期間の長期化により、国民負担は際限なく高止まりするのが当たり前になることが考えられる。

国民皆保険制度は小泉・安倍政権により改悪の連続である。そしてTPP批准後、到底社会保障と言えない内容に空洞化されようとしている。アメニティー部分に民間業者が参入していることは珍しくなくなっているが、医療機関丸ごと、米国式の営利企業の運営に任されることになり、共済・年金も国民本位から企業本位に、アフラックのように米国の大手生命保険会社が郵便局に入り、かんぽ生命と競合することが当たり前になる。

以上見てきたようにTPP協定(条約)の批准は、国民にとって微塵も益をもたらさず、多国籍企業の餌食となる危険性が目の前に迫っている。

医療分野からの反対世論を急速に高めることが今ほど大切な時はない。

大阪府保険医協会は、衆議院TPP特別委員会で強引な採決を行なわないよう強く求めるとともに、引き続きあらゆる分野の方と共同してTPP批准を国会で承認させない取り組みを進める決意である。

2016年10月27日
大阪府保険医協会理事会


  • facebook
  • 書籍販売
  • 大阪府歯科保険医協会
  • 大阪府保険医協同組合
  • オンライン共同購入
  • 全国保険医団体連合会
  • 保険医休業保障共済保険
  • Don't Bank On The Bomb
  • コロナ禍の近畿生活支援・情報発信プロジェクト
ページ上部へ戻る