TPP交渉閣僚会合で「大筋合意」に達したことについて、理事会声明を発表しました。

TPP交渉の「大筋合意」に抗議

2015年10月22日
大阪府保険医協会理事会

■10月5日、TPP(環太平洋連携協定)交渉は、日本やアメリカなど12カ国による閣僚会合で「大筋合意」に達した。私たち医師は、国民皆保険制度および日本の主権を守る立場から「大筋合意」に強く抗議する。
■安倍首相は6日の記者会見で、「関税撤廃の例外を数多く確保し、自民党が掲げた国民との約束は守ることができた。国益にかなう最善の結果が得られた」と発言しているが、大筋合意の内容は“聖域”とした農産物重要5品目についても大幅に譲歩したものであり、国会決議違反ともいえる。
■医療においても、「知的財産」の章で「特許期間延長制度」「新薬のデータ保護期間に係るルールの構築」「特許リンゲージ制度」等の導入が掲げられた。これらによって、新薬価格の高騰やジェネリック医薬品の製造・普及が困難になる可能性がある。
■なにより看過できないのは、投資先の国・自治体が行った施策・規制で不利益を被ったと企業や投資家が判断した場合、その制度の変更・廃止や損害賠償を相手国に求めることができる「ISDS条項」が盛り込まれたことである。この制度によって、国民皆保険制度は形骸化し、薬価の高騰や、混合診療の解禁、自由診療の拡大、医療への株式会社参入などで、日本の医療が米国のようにビジネスにされていく可能性は高い。また、医療の営利化がすすめば、高額療養費制度も破綻する恐れがある。安倍首相はTPP交渉参加を表明した2013年3月に「公的医療保険制度はTPP交渉の議論の対象になっていない」「制度を揺るがすことはない」と発言していた。今回も、「大筋合意」にあたっての記者会見で「国民皆保険制度を堅持する」「わが国の主権はまったく損なわれない」と発言しているが、「ISDS条項」がTPPに盛り込まれた以上、これらの発言はもはや「詭弁」にすぎない。
■TPPは秘密裏にすすめられ、国民はもとより国会議員にすら交渉内容は公開されていない。TPPの国会承認の前に交渉内容を国民の前に明らかにし、国民主体で議論をつくす必要がある。
■私たち医師は、国民のいのちと暮らしを守るため、「いつでも、どこでも、だれでも」受けられる国民皆保険制度を堅持するため、広範な市民・団体と連携を深め、TPPからの撤退、調印中止、国会での不承認、批准阻止に向けて全力をあげる。


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