財務省主導でなく、ただちに国会を開催し事実を踏まえた議論を国民の前で行い、医療現場の声を反映した診療報酬改定を
- 2015/11/20
- 私たちの考え
財務省主導でなく、ただちに国会を開催し事実を踏まえた議論を国民の前で行い、
医療現場の声を反映した診療報酬改定を
2015年11月20日
大阪府保険医協会
政策調査担当副理事長
井上 賢二
■10月30日に開かれた財務省・財政制度等審議会では、2008年からプラス改定ということをうけて来年春の診療報酬改定の「本体マイナス改定」を主張している。
しかし、財務省が出した資料は、診療報酬改定「本体部分」のみを見て、薬価のマイナス部分が反映されていない。診療報酬本体と薬価のネットでみると、小泉改革時代の2002年のマイナス2.7%にはじまり2008年まで連続のマイナス改定が「医療崩壊」をうみだした。
こうした内容が財務省の資料では全く反映されず、いまだに当時のマイナス部分が取り戻せないままという状況を完全に無視し、あたかも診療報酬が大幅に上がっているように見えるグラフを示して「マイナス改定」を主張している。
財政制度等審議会での一方的な議論は、私たちの現場の声は全く反映されておらず、国民の命と健康を守る医療機関として到底認められるものでない。
ただちに国会を開催し、事実を踏まえた議論をすべきである。
■しかし、安倍首相は11月12日、臨時国会の召集を見送ることを決定した。
憲法に基づいて召集を要求している野党側は「臨時国会を開かないのは憲法違反だ」と反発し臨時国会召集を改めて要求する方針を示している。
先の国会で過半数の国民が反対していた「安全保障関連法」成立を強行した際に、安倍首相は「国民に丁寧に説明をする」と語っている。さらに加えて、国民に秘密裏に進められているTPPの「大筋合意」、沖縄県民の声を無視した辺野古新基地工事の強行、第三次安倍内閣閣僚の不祥事など、この1カ月の間に国会で議論しなければならない課題が山積している。
■私たちは、一刻も早く臨時国会の開催を強く望むとともに、財務省が都合のよい数字だけを根拠に診療報酬マイナス改定の世論づくりの企てに対して断固抗議する。