国家戦略特別区域について

(2014.12.15大阪保険医新聞)

医療の規制緩和は「東京圏」と「関西圏」-安全性が確立されていない医療が進められる危険性

9月25日の新聞各紙で、国家戦略特区「関西圏」(大阪府・京都府・兵庫県)での医療への規制緩和策を盛り込んだ事業計画が政府認定されたと報道されました。安倍内閣が進める成長戦略の拠点づくり、国家戦略特区とはいったいどういうものか。あらためて見てみたい。

 指定地域になれば、経済性を優先し、規制緩和の「恩典」を与えられる

現在、「国家戦略特別区域」の指定は全国で6地域(表)。ただ、保険外併用療養の特例など医療の規制緩和は「東京圏」と「関西圏」のみです。25日の関西版では「混合診療、来年にも実施」(日経)「混合診療の審査迅速化」(読売)「神戸にiPS病院」(毎日)と医療分野での適用決定を大きく報道しました。

何か新しい医療制度が「関西圏」だけに認められたかのようですが、混合診療は保険外併用療養として制度化され、その中の「評価療養」の「先進医療B」、いわゆる「臨床研究」と保険の併用の枠組みで、未承認薬の混合診療がすでに行なわれています。今回、関西に認められたものは、この混合診療の実施の審査をスピードアップするもので、ある意味では「患者申出療養」の先取りです。

この他、iPS細胞を活用した再生医療のための「専用病床」の確保のため、病床規制緩和も盛り込まれています。検討事項では外国人医師の診療の対象者拡大も出されています。関西圏では、大学病院などが先進医療を進め、海外も視野にいれた医療産業推進が中心になっているようです。

一方、「東京圏」の計画素案は趣が異なる内容も含まれています。慶応大学などの未承認薬使用に加えて、クリニックでの免疫療法(自由診療)への病床確保、規制緩和も盛り込まれています。要するに指定地域になれば、経済性を優先し、規制緩和の「恩典」を与えられ、保険外診療や安全性が確立されていない医療が進められる危険性があるといえます。

更に危険性をはらむ「患者申出療養」

問題の「患者申出療養」も更に危険性をはらみ、命の責任は申し出た患者の「自己責任」といっても過言でない制度が進められようとしています。いつでも・どこでも・だれにでも安心・安全な医療を提供する日本の医療制度の根幹を揺るがしかねない国家戦略特区構想。東京・神奈川・京都・兵庫の各協会は都府県や国に問題点を指摘し、交渉をすすめています。大阪協会も対府交渉を今後進める予定です。


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