医療分野へ利用範囲を拡大するマイナンバー法改定案の廃案とマイナンバー制度の施行中止を求める

22 日から参議院での審議が始まった個人情報保護法とマイナンバー法の改定案について、大阪府保険医協会政策部長が談話を発表。

2015年5月28日
政策部長 川崎高俊

■5月21日、個人情報保護法とマイナンバー法の改定案(個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案)が衆議院本会議で可決され、22日から参議院での審議が始まった。
改定案では、現行法で保険給付の支給・保険料等の徴収に関する事務での使用に限定されているマイナンバーの利用を、新たに預貯金口座に加え、特定健診情報、予防接種履歴へも拡大するとしている。個人の健康診査情報を手始めに、医療分野になし崩し的に利用範囲を拡大し、「患者の医療情報」の利活用への布石としていくことが懸念される。

■そもそも、マイナンバー法施行前に利用範囲を拡大する法案を提出することは、マイナンバー法附則6条「法律施行後3年を目処として施行の状況等を勘案」して、「個人番号の利用の範囲を拡大すること」について検討を加え「国民の理解を得つつ、所要の措置を講ずる」との内容を大きく逸脱するものと言わざるを得ない。

■現行のマイナンバー法においても、内閣府が2015年1月に実施した世論調査結果では、「内容まで知っていた」との回答が全体の28.3%にとどまっており、国民への周知活動は不足している。また、個人のプライバシーがどのように扱われるかは依然不透明である上に、情報の漏洩や不正利用というリスクに関しても充分な審議が行われたと到底いえるものではなく、この様な中での利用範囲拡大は許されない。

■さらに、個人番号は様々な書類に書くことが求められているため、DV被害者など住民票と異なる場所に居住しており番号の通知が届かない人や住民票が削除されているため付番されない人、そして自らの意思で番号を告知しない人は、様々な公的サービスや雇用から排除される可能性が指摘されている。このような懸念が残されている限り、マイナンバー法は拙速に施行すべきではない。

■「患者の医療情報」など医療分野への利用拡大の道を拓く改定案の廃案を求めるとともに、マイナンバー制度の施行中止を強く要望する。

連絡先:大阪府保険医協会
大阪市浪速区幸町1-2-33
TEL 06-6568-7721
担当:坂元・田川


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