内心の自由を侵害する「共謀罪」法案に反対

内心の自由を侵害する「共謀罪」法案に反対
参議院での廃案を強く求める

 「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法の改正案が5月19日の衆議院法務委員会で強行採決され、同法案は23日の衆院本会議で自民、公明、維新などの賛成多数で可決された。

 政府は「共謀罪」法案について、277の対象犯罪を計画し、準備行為を行った組織的犯罪集団を処罰するもので、国際組織犯罪防止(TOC)条約の締結には法案の成立が必要だと訴えている。しかし、政府は法務委員会で、組織的犯罪集団に属さない「一般の人」、「通常の社会生活を送る人」は今回の法案とは関係ないと答弁するが、あいまいな基準を示すのみで、多くの疑問は増幅するばかりである。また、準備行為についても内心を調べなければ分からないものであり、テロとは無関係の一般市民が日常的に捜査対象になる可能性がある。さらに自公維3党は同法案にGPS捜査の制度化の検討を盛り込み、衆院での採決を強行した。GPS捜査は「令状なしは違法」という最高裁判決が下されており、GPS捜査の制度化は国家権力による国民監視に歯止めをかけた司法の判断に逆行している。「共謀罪」法案は、憲法で保障されている内心の自由を侵害する重大な欠陥法案である。

 対象犯罪に関わる法律には向精神薬取締法など医療関係の法律も含まれており、医師と患者との信頼関係を前提に成り立っている医療現場に不安や混乱を引き起こしかねない。また、日常の診療と医療制度は密接に関わっており、「共謀罪」によって制度の改善を求める運動を萎縮させ、結果として国民医療が後退することが危惧される。

 我々は国民の生命と健康を守る医師の団体として「共謀罪」法案に反対し、参議院での廃案を強く求める

2017年5月25日
大阪府保険医協会第16回理事会


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