住吉市民病院の現地建て替えを求め、理事会声明を発表。

住吉市民病院の現地建て替えを求める地域住民・医療従事者の声を聞け

2016年5月12日
大阪府保険医協会理事会

 2月29日、厚生労働省は住吉市民病院廃止に伴う病院再編計画に同意した。過去に都道府県医療審議会で反対多数の意見が付された再編計画が厚労省において協議された前例はなく、大阪府医療審議会や大阪市南部医療保健審議会の反対や危惧を無視して同意がなされたことは、前代未聞の暴挙である。

 現在、大阪府・市による「住吉市民病院廃止に伴う病院再編計画説明会」が行われているが、4月25日に住之江区で行われた説明会では疑問や意見が続出した上に、多くの発言希望者を残したまま、時間を延長することなく質疑を打ち切った。こうした説明会の運営は、住民の理解と納得を得るよう求める「新公立病院改革ガイドライン」や国会での厚労省答弁をも軽視していると言わざるを得ない。私たちは、住民が充分に発言でき、住民の意見をしっかりと聞く時間を確保した説明会の運営を求める。

 また、地元医師会が再編計画に反対していることについて、同説明会の質疑の場で市側が「見解の相違。医師会は地元中心に考えておられるようだがわれわれは南部医療圏で考えている」などと、まるで医師会が地元のことしか考えていないかのような答弁をしたことに、強く抗議する。地域の医療従事者は、住吉市民病院が果たしてきた役割の重要性と南部医療圏の小児・周産期も含めた地域医療を守る立場から反対しているのであり、医師会側の出席者がいない場で一方的に事実とは異なる発言をすることに強い憤りを覚える。

 今回の再編計画では、市民病院跡地に誘致する民間病院だけでは住吉市民病院と同じ医師数を確保することができず、大阪府立急性期・総合医療センターの小児科医を派遣することになっている。しかし、その大阪府立急性期・総合医療センターでもこの1年間に小児科医が12人から7人に減り、従来どおりの医療機能を維持することが困難な事態になっている。こうしたことからも、今回の再編計画は非現実的な計画であるとともに、廃止条例の附帯決議にある“住吉市民病院が担っている医療機能の存続”や“市南部保健医療圏の小児・周産期医療の充実・強化”からも程遠い。このまま再編計画を推し進めれば、医療難民が発生し、地域医療の崩壊へと向かうことは明らかである。

 民間病院が不採算部門である小児・周産期医療において公立病院と同等の役割を果たすことが困難であることは、これまでの経過からも明らかになっている。大阪府保険医協会は、住吉市民病院建替えの原点に返り、2013年3月に大阪市議会で採決された附帯決議の完全なる実施と住民要望に添った住吉市民病院の現地建替えを強く要望する。


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