中医協などで議論されている「リフィル処方箋」について、理事会声明を発表しました。

リフィル処方箋及び分割調剤の導入は
患者の健康確保の上で障害となるため反対する

2015年10月22日
大阪府保険医協会

■患者が一定期間内に繰り返し利用できるリフィル処方箋の導入について、2010年3月19日厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」がまとめた報告書に、薬剤師業務の範囲拡大に関する今後の検討課題として、繰り返し使用可能な処方せんの導入や薬物の血中濃度測定のための採血の実施などを盛り込み、その後検討が進められるなか、今年に入って6月に閣議決定された「規制改革実施計画」は年度内の検討・結論を求めている。
■また2013年11月の中医協で「患者の容態の変化に気づくのが遅れたこと」がある医師が18.0%などの調査結果にあるように長期処方の問題が指摘され、大規模な病院ほど、慢性疾患の薬剤に関する投薬期間(処方日数)が長い傾向にあるとしている。また残薬の減量を求められたことがあると回答した薬局が約9割であり、大量に飲み残しがあると指摘している。これら長期処方の問題と残薬問題とを理由に分割調剤を活用してはどうかという理由で提案された。
■リフィル処方箋と分割調剤とはイコールではないが、結局のところ同じような性質を持った内容となるのである。
大病院でより多く行われている長期処方期間の管理を薬学的管理しか行えない薬剤師に担わす前に、地域の開業医にかかりつけ医としての機能を生かすことが先と考える。
■リフィル処方箋について、患者がこれを使う場合、2回目以降の処方については薬局で体調確認、残薬確認などを行い、特に症状変化、副作用等問題なしと判断されればそのまま処方となる。
■リフィル処方箋の使用が想定される慢性疾患の患者は、生活習慣が乱れやすく医師による診察及びきめ細かな指導管理が必須であり、肝機能・腎機能など代謝機能のチェック、また感染症・合併症の兆候や重篤疾患の初期症状など微細な容態の変化に迅速に気付き的確に対処することが不可欠である。医師の診察を事実上薬局に委ねる形となるリフィル処方箋の導入は、患者の健康確保上から極めて問題が多い。
■また、「規制改革実施計画」の狙いは、患者の受診回数を減らすことによって医療費を抑制することにあると考えられるが、早期受診・早期治療という医療の原則に反し、容認できない。また、新たな調剤への管理料の設定及び病態が重症化する患者が続出すれば、医療費は却って増えることになる。
■中医協でも「体調確認はかかりつけ医の役割」、「患者や保険者の負担増なら反対」との意見が出されており、現在、診療側・支払側双方に導入の必要性を求める声もない。
■規制改革の名の下に診療現場の議論を経ずに閣議決定される方法も極めて問題である。
■以上のことからリフィル処方箋の導入及び分割調剤に反対する。


  • facebook
  • 書籍販売
  • 大阪府歯科保険医協会
  • 大阪府保険医協同組合
  • オンライン共同購入
  • 全国保険医団体連合会
  • 保険医休業保障共済保険
  • Don't Bank On The Bomb
  • コロナ禍の近畿生活支援・情報発信プロジェクト
ページ上部へ戻る