マイナンバー制度の施行中止と改定案の撤回を求める

日本年金機構の個人情報流出を受け大阪府保険医協会が談話を発表

大阪府保険医協会は6月1日に明らかとなった日本年金機構による年金個人情報流出を受け、以下の政策部長談話を発表しました。

マイナンバー制度の施行中止と改定案の撤回を求める

2015年6月11日
大阪府保険医協会 政策部
部長 川崎高俊

■6月1日、日本年金機構は約125万件にのぼる基礎年金番号や氏名など年金に関する個人情報が流出したことを発表した。流出した個人情報は、なりすましや振り込め詐欺などに悪用されることが懸念されており、共通番号制度への国民の不安は日に日に高まっている。

■今回の事件では、問題が発覚してから発表に至るまでの遅れや、対象者への連絡の不備、基礎年金番号変更の手順が未定であるなど、政府の危機管理体制の欠如が次々と露呈している。政府は「共通番号制度は安全」と説明しているが、メディアからも「セキュリティー対策は漏洩の危険性を軽減はするが、絶対の安全はない」と指摘されている通り、漏洩のリスクがゼロとなることはない。

■公的機関である日本年金機構ですら不備のあった情報管理を、あらゆる事業者に行わせることは非現実的であり、情報漏洩がおきた場合の影響ははかり知れない。政府はまず、今回の事件の原因究明と指摘されている様々な問題点を徹底的に検討すべきである。

■現在審議中のマイナンバー法改定法案では、現行法で保険給付の支給・保険料等の徴収に関する事務での使用に限定されているマイナンバーの利用を、新たに預貯金口座に加え、特定健診情報、予防接種履歴へも拡大するとしている。さらに、政府の産業競争力会議は2018年度から新たに医療番号を導入し、マイナンバーと連動させ、機微性の高い「患者の医療情報」にまで利用範囲を拡大することを打ち出した。

■そもそも、マイナンバー法施行前に利用範囲を拡大する法案を提出することは、マイナンバー法附則6条「法律施行後3年を目途として施行の状況等を勘案」して、「個人番号の利用の範囲を拡大すること」について検討を加え「国民の理解を得つつ、所要の措置を講ずる」との内容を大きく逸脱するものと言わざるを得ない。

■内閣府が2015年1月に実施した世論調査結果では、「内容まで知っていた」との回答が全体の28.3%にとどまっている。さらに、自治体や企業の準備の遅れも指摘されており、帝国データバンク大阪支社の調査によると、近畿に本社を置く企業の内「内容も含めて知っている」との回答は45.2%、制度に対応しているとの回答は約2割である(6月10日付け、読売新聞)。制度への認知・準備が不十分な中で個人番号が配られると漏洩や不正利用というリスクが頻発することは想像に難くない。

■公的年金の個人情報流出という重大問題を起こした以上、その深刻な影響を考えるならば、このまま制度を実施することはできないはずである。
■現在参議院で審議中のマイナンバー法改定法案は取り下げ、10月からの番号通知及び2016年1月からの利用開始を中止することを強く要望する。

連絡先:大阪市浪速区幸町1-2-33
(電話)06-6568-7721
大阪府保険医協会事務局 坂元・田川


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