第126回評議員会・拡大役員会決議

決議

第196回通常国会が1月22日開会された。

安倍首相は自民党両院議員総会で改憲について「いよいよ実現する時を迎えている」と言明し、施政方針演説でも各党に「議論を進めていくことに期待」と前のめりの姿勢だ。

しかし、直近の共同通信社の世論調査では「安倍首相の下での憲法改正」に反対は54.8%を占めている。また、読売新聞の世論調査で「安倍内閣に優先して取り組んで欲しい課題(複数回答)」では「景気・雇用」(88%)が一番多く、「憲法改正」(27%)は「森友・加計問題」(39%)をも下回り、選択肢の中で一番低い数字だった。

こうした調査結果をみても、今国会で強引に改憲に突き進む安倍首相の姿勢は主権者である国民の意見を全く無視するもので、改憲案の発議は国民主権を蔑ろにするものである。

今の日本は高齢社会が抱えるあらゆる課題が山積している。国立社会保障・人口問題研究所は、2040年には65歳以上の単身世帯が900万世帯に増えると推計している。老々介護や孤独死など、高齢者の単身世帯と認知症の問題への対策は喫緊の課題となっている。

安倍首相は施政方針演説で「全世代型社会保障」を訴えたが、大企業への応分の負担を求めることもなく法人税はさらに減税し、消費税増税と医療・介護の国民負担を増やす政策を推し進めており、格差社会の問題はますます深刻となっている。いつでも・どこでも・だれにでも、安心・安全の医療・介護を保障することが、日本の政治に求められているのではないか。

今年の診療報酬・介護報酬同時改定は、入院抑制のための病床再編を露骨に進め、医療費削減を全面に押し出している。一方で今回の改定の「基本方針」では“効果的・効率的”な医療と“先進的な医療技術”を進めることに重点を置いており、遠隔診療の保険適用など、私たちの日常の診療に対する評価よりも、「経済成長への貢献」重視の点数配分にならないか危惧するところである。

診療報酬はそもそも私たち医師と医療従事者の技術料に対する評価であり、患者の受ける医療の範囲と内容を決めるものである。診療報酬で医療内容を抑えることは、国民から医療を奪いとることにつながる。

大阪府保険医協会は、医療機関の経営を守りながら、診療の質を低下することなく、安心・安全な医療を国民に提供できるよう、医療提供体制を担保する診療報酬を求め、引き続き運動を進めていくとともに、社会保障制度拡充は平和な日本だからこそ実現することに確信もち、憲法と社会保障を守る運動を広範な国民の方々と進めていく決意である。

2018年2月3日

大阪府保険医協会第126回評議員会・拡大役員会


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