【理事会声明】1/31、高校3年生へのIR推進局作成のリーフレット配布に断固抗議する理事会声明を発表しました。

報道関係各社御中

大阪府保険医協会は1月31日の理事会で以下の声明を発表しました。

ギャンブルは「娯楽」ではなく、人を精神的にも経済的にも苛む「賭博」である

高校3年生へのIR推進局作成の
リーフレット配布に断固抗議する

大阪府・市が作るIR推進局推進課推進グループは昨年12月5日にリーフレット「将来、ギャンブルにのめり込まないために」を作成し、大阪府内の高等学校・支援学校の3年生約9万人に配布すると発表した。当会は医師の団体として、IR誘致に盲進するあまりギャンブルの危険性を軽視する大阪府・市の姿勢に断固抗議する。

ギャンブルは「娯楽」ではなく刑法に違反する「賭博」である

このリーフレットでは、ギャンブルとの付き合い方として「生活に問題が生じないよう金額と時間の限度を決めてその範囲内で楽しむ娯楽です」としている。

「ギャンブル」は「賭博」のことであり、これは刑法に違反する行為である。競馬や競輪などの公営ギャンブルやパチンコは、その個別法の定めや公益性等から違法性が阻却されたきわめて例外的な存在である。高校生に配布したリーフレットには、あたかも「ギャンブル」には「違法性」がなく身近な「娯楽」ととれるこうした表現は、高校生に大きな誤解を与えるもので、このようなリーフレットを自治体が配布したことに強い怒りを覚える。

現在、パチンコや競馬・競輪などでもギャンブル依存症を発症する患者は後を絶たない。ギャンブルは「娯楽」という遊びの範疇にあるものではなく、身を滅ぼす恐れもある「賭博」という危険なものであることを認識すべきである。

ギャンブル依存症の特徴、影響の捉え方が楽観的に過ぎる

リーフレットでは「(ギャンブル依存症は)治るのでしょうか?」との問いに「風邪やケガのような治り方をするものではありませんが」との前置きを付けて「様々な助けや理解」で「回復は可能」と解説をしている。

しかし現実はどうか。依存症患者および家族の体験・証言からは、ギャンブル依存症患者の特徴として家族・親族が借金の尻ぬぐいを何度もさせられることによる家族関係崩壊、お金を求めての周りへの暴力行為・暴言などの肉体的・精神的苦痛も強いられる。また窃盗や万引きなどの犯罪にもつながり、本人だけでなく周りにも長年害を与え続けているということが多々報告されている。

ギャンブルの危険性を真に知らせるのであれば、楽観的な記述・見方に終始するのではなく、ギャンブルの害をしっかりと教える予防教育が何よりも必要だ。

われわれは国民の健康と命を守る医師の団体として、今回のリーフレット配布にあらためて強く抗議するともにリーフレットの回収を求めるものである。

2019年1月31日

大阪府保険医協会理事会

お問合せは大阪府保険医協会まで TEL 06-6568-7721(担当・田川)


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