大阪府保険医協会 第53回定期総会 決議

決議

新たな患者負担導入を許さず、
国民・患者に必要な医療・介護を守ろう

■9月8日に発表されたGDP改定値は年率換算でマイナス7.1%となり、大震災時を超す下げ幅となった。消費増税による個人消費、企業の設備投資が大きく低迷しているにも関わらず、安倍政権は、来年秋に消費税率10%引き上げを目論んでいる。

■「消費税引き上げ分は全て社会保障に」を口実に4月から消費税率は8%に引上げられたが、増収分5兆円のうち「社会保障の充実」に使われたのはわずか0.5兆円にすぎない。そして、「社会保障の充実」どころか安倍政権は、来年の通常国会で新たな患者負担を強いる法案提出の準備を進め、更なる国民負担を進めようとしている。

■その主な中身は①紹介状なし大病院受診時の定額自己負担(5千円)導入、②入院時食事療養費の自己負担引き上げ(1 食260 円を460 円に)、③患者申出療養(仮)の新設の3項目で、われわれは新たな患者負担に断固反対である。

■そして、この患者負担増の準備と平行して、先の国会で成立した「医療介護総合確保推進法」に盛り込まれた「病床機能報告制度」をもとに、都道府県による医療費抑制の実効性を高めるようとしている。この報告をもとに策定される「地域医療構想(ビジョン)」では、都道府県に与えられた権限も大きく、従わない医療機関に罰則を科すことさえできるようになる。「病床機能報告制度」で行き場を失う患者・国民は地域で安心して暮らすことができなくなり、医療難民・介護難民がさらに生み出されることになりかねない。政府の進める「地域医療構想」は地域の実情でなく、「医療費削減」という政策主体で構想する提供体制を実現させる仕組の導入であり、断固容認できない。

■一方で、財政制度審議会や社会保障審議会等では、①75 歳以上の患者負担を原則1割から2割に引き上げ、②70~74 歳の患者負担を原則2割から3割に引き上げ、③70 歳以上の高額療養費制度における外来特例を廃止する、④市販類似医薬品(漢方・風邪薬など)の保険適用除外、⑤受診時定額負担を導入なども検討している。

■大阪府保険医協会は、国民が「いつでも・どこでも・だれでも」安心して医療が受けられる医療制度を守るため、患者負担増を許さず、大幅な患者負担軽減を求めた大運動をこの秋より進めていく。

2014年9月27日
大阪府保険医協会第53回定期総会


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