充分な在宅医療の提供体制構築のため、診療報酬の引き上げと不合理是正を求める決議
- 2015/11/21
- 私たちの考え
充分な在宅医療の提供体制構築のため
診療報酬の引き上げと不合理是正を求める決議
■2006年度診療報酬改定で在宅療養診療所が創設されて以降、毎回の改定で外来点数と比較すれば“より高い”点数で在宅医療へ更に誘導してきた。しかし2014年度の点数改定では「施設入居者への医療」に対して不適切事例があったとして、「同一建物居住者への在宅患者訪問診療料」「同一建物居住者への在宅時医学総合管理料」の大幅な減算が導入された。一律に影響を与える診療報酬による「適正化」は真摯に在宅医療に取り組んできた医療機関をも巻き込み、「これでは採算が取れない」「モチベーションが保てない」と撤退を呼んだ。増加する在宅患者に対して、在宅医療を担う医療機関の減少をもたらした先の診療報酬改定は失敗であったと言わざるを得ない。
■保険医協会の地域医療対策部会では常々「多くの医療機関において外来患者が在宅医療に移行した場合でも、その医療機関で対応できるような診療報酬体系を」と訴えてきた。こうした在宅医療の体制作りには「医療機関同士の連携などでの負担軽減」が必須である。しかしながら現実では在宅療養支援診療所の24時間連絡受付、往診体制といった施設基準が在宅医療を始める上で最大の障壁になっている。また在宅患者訪問診療料等、1患者について1医療機関のみしか算定できない、という診療報酬上の縛りも数多く存在している。高点数で誘導し、施設基準で縛り付けるやり方ではなく、在宅患者に対し各科の医療機関が連携して診療にあたる体制作りを改めて求める次第である。
■また、こうした体制作りにプラス改定による予算の裏付けが取れた不合理是正が欠かせない。2016年度の診療報酬改定はプラス改定とすることを強く要求する。我々は次の3点を求める。
一、在宅医療提供体制を始め、地域医療を充実させるため2016年度点数改定をプラス改定とすること
一、在宅患者を管理する上で欠かせない、医療機関同士の連携を妨げる診療報酬の規定は削除すること
一、多くの医療機関が在宅医療に参入しやすいような診療報酬体系を構築すること
以上決議する。
2015年11月21日
「これからの在宅医療を考える」シンポジウム
参加者一同