最終回 千葉県房総半島を宝探しの聖地に!

作家、トレジャーハンター 八重野 充弘

アメリカのフロリダ半島は宝探しの聖地といわれる。大西洋に面する東海岸では、沖合に沈む船から流失して打ち上げられた金貨や銀貨が見つかるからだ。

16世紀から19世紀初頭にかけて、中南米を統治したスペインは、現地で採掘した金銀宝石を本国に届けるための船団を組んだ。ところが、たびたび嵐にあって沈没した。フロリダ東岸からカリブ海にかけては、そういった宝船の密度が世界で最も濃い海域なのである。

スケールではフロリダには遠く及ばないものの、日本にも似た場所がある。千葉県の房総半島だ。

15年ほど前に海岸を散歩中の老人が見つけた「元文小判」。時価約30万円(現在は館山市立博物館蔵)

筆者が足繁く館山市の塩見海岸に通うようになったのは7年前から。

その10年ほど前に、海岸を散歩中の老人が本物の元文小判を拾ったことがある。沖合には時代的に整合する船が3隻沈んでいて、そこから流出し、波に洗われ砂浜に打ち上げられたものに違いない。

東京湾に向かってカギ爪のように突き出したこの海岸は、漂流物も多いところで、沈没船から小判が漂着するのは不自然なことではない。

7年前、拾った小判を見せてくれた老人も「1枚だけのはずはない」と言う。筆者もあと数十枚、いや数百枚はあるのではないかと考えた。

砂浜を金属探知機を使って探す

水中は箱眼鏡やレーキなどを使って探る

それ以来、夏場だけ毎年1~2回、仲間と一緒に通って小判探しを続けてきた。波打ち際は金属探知機でほぼ調べ尽くし、海中に足を踏み入れて、水面から目視できる範囲を調査中だ。沈没船まではかなり距離があるので、ゆくゆくはスキューバを使った本格的な水中探査もやりたいと思っている。

仲間と楽しむ宝探し

この場所で初めて宝探しを体験した仲間も何人かいるが、みんなその面白さにすっかりハマってしまい、嬉々として水に浸かっている。

そう、筆者は前からこういうことがやりたかったのだ。どこかでお宝を発見するのが最大の目的ではあるが、仲間といっしょに楽しむ宝探し。欲に目がくらんだ昔の埋蔵金掘りとは一線を画す、健全な形のトレジャーハンティング。それが房総半島ではできそうだ。

なぜなら、まずターゲットが多いこと。沈没船だけでも館山沖にとどまらない。江戸時代には難所とされた東京湾の入り口には、座礁して沈んだ船がまだまだたくさんあり、広く沿岸を調べる価値がある。また、太平洋側の数カ所にも幕末維新時に沈んだ船がある。

さらに、内陸部には、有名な里見家の財宝伝説(旧千倉町/現南房総市)や、市原市金剛地の成島家に伝わる埋蔵金伝説がある。

後者は昭和初期に埋蔵秘文が公開されたため、全国から埋蔵金マニアが詰めかけて、発掘ブームに沸いたという。実は筆者も40年近く前、協力を頼まれて発掘チームに参加したのを皮切りに、数年おきにこれまで10回近く訪れている。

房総半島は地形的にもフロリダ半島との共通点があるから、日本のトレジャーハンティングの聖地になっても、けっしておかしくはないのだ。

誰もが気軽に楽しめるお宝探しの時代が、房総半島を舞台に本格化することを願っている。(完)


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