意義のない巨大イベント開催
その責任追及が必要だ

7月24日、多くの国民が反対する中、東京五輪が開幕した。

この開幕まで本当に様々な問題が生じてきたが、開会のわずか4日前に、音楽担当の一人だった小山田圭吾氏、前日に開閉会式の演出担当だった小林賢太郎氏が辞任する前代未聞の騒ぎとなった。

この二人の辞任理由が、小山田氏は過去の障害者へのいじめ、小林氏がやはり過去にユダヤ人ホロコーストを揶揄していたためというのだから、東京五輪が掲げている「多様性と調和」「Moving Forward(ムービング フォワード)」などのコンセプトが完全に嘘であったことが露見した。

2兆円以上の税金を投入し、コロナ禍で医療崩壊の危険を冒してまで開催する五輪で、日本の恥を全世界に晒した組織委の責任は、とてつもなく重い。

そもそも今回の五輪は、すでにその開催意義も消滅している。

3月20日、組織委が海外からの観光客受け入れ断念を発表した時点で、「4年に一度、世界中の人々が平和のために一堂に会する」という五輪の根本的な精神的意義が消えたのだ。

さらに、IOCと組織委が作成したプレイブックでは選手村での選手間の交流も厳しく制限しており、それに従う限り、選手たちによる国籍を越えた友好の醸成も困難になっている。

経済的意義の消滅と増大する巨大な赤字

また、無観客開催となったため、組織委の貴重な収入源であったチケット代金900億円のほとんどを返金しなければならなくなった。だがすでに組織委には財政的余力が無く、東京都または国の税金投入による補填は避けられない。

そして、空港での検疫強化やアスリートのハイヤー移動など、当初予想していた以上のコロナ対策費が次々に発生しており、組織委幹部がオリパラ終了後でなければ支出総額が分からないと言うほど、経費は増大している。もはや、巨額の赤字だけが残ることが決定的になっているのである。

さらに、見えない経費として、強行開始によって発生する医療費がある。

大会期間中に感染者が増え、医療費が増大しても大会経費にはカウントされないが、開催しなければその費用は発生しないのだから、これも隠れた経費として加算するべきである。

このように、「インバウンドという経済的意義」と「国際交流という精神的意義」という、五輪開催の根幹が完全に消滅したいま、連日連夜メディアが大騒ぎをして開催されているのは「何の意義もない、金食い虫の巨大な競技会」である。

だが、この無意味な競技会に国と東京都、組織委は2兆円以上の税金を浪費してきた。

さらに、強行開催によって選手や関係者の感染が激増しており、事前に懸念されていた「スーパースプレッダー」となる危険性が日増しに強くなっている。このような愚かな催しは途中でも中止すべきであるし、終了後の責任追及も、国会の場で徹底的に行うべきだ。

巨額の税金を浪費し、国際社会に恥を晒し、感染拡大を招いた責任はどこにあるのか。それを明らかにして処断することこそが、東京大会の真の遺産(レガシー)となるのではないか。

(完)


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