穴だらけのコロナ対策では国民を守れない

コロナ第5波の兆候が見える中で、菅政権は五輪開催を強行しようとしている。政府と組織委は、アスリートの行動規範を定めたプレイブックを策定し、アスリートは定められた宿泊施設(ホストタウン)と選手村、競技場以外には外出せず、国民と接する機会はないから安全だと主張している。

「陰性証明あり」でも入国時の検査で陽性

だが、その施策にも早速ケチが付いた。6月19日、ワクチンを接種し、現地政府の陰性証明を持ったウガンダ選手団9名のうちの一人が、成田空港で陽性となったのだ。本人は隔離され、残りの8名はそのまま大阪の泉佐野市に移動したのだが、そこでさらに2人目の陽性が発覚した。感染対策は万全であると散々喧伝して来たのに、早々に欠陥が露呈したのだ。

それでも、アスリートはまだ厳格に守られる方だ。真の問題は、そのアスリートを含めて五輪関係者をサポートする約7万人のボランティアと、会場に出入りする警備や各種の請負業者(約12万人)の安全が、殆ど確保されていないことにある。

選手以外から感染拡大 G7の轍を踏む危険性

大会が行われる予定の新国立競技場
(東京2020オリンピック競技大会公式HPより)

アスリート(1万5千人)以外でボランティアがサポートする対象は、海外メディア(約3万人)とIOC関係者、スポンサー関係者(約5万人)となる。このアスリート以外の人々は、選手村内に隔離されず行動制限が緩くなるため、もっとも感染確率が高いと考えられる。入国時には陰性証明書取得やPCR検査が課せられるが、入国後は、アスリートのように徹底的な管理下には置かれないからだ。メディアには滞在中の行動計画書を提出させ、携帯のGPSで場所を確認するとしているが、3万人の行動を逐一監視することなど不可能である。

そして、彼らと接するボランティア、警備、輸送などの請負業者に対するワクチン接種も、全員にはとても行き渡らない。今のところアスリートや要人に接する頻度が高い4万人分しかワクチンの用意は無いから、その他の人々は開催期間中、常に感染の危険に晒されることになる。

さらに、ボランティアには用意された宿泊施設がなく、開催期間中も隔離されない。そのほとんどが毎日、自宅または各自の宿泊先からの通いとなるため、その間、家族や友人ら複数の人々と接することになる。G7開催後に感染者が急激に増加した英国のコーンウォールでは、全国から集まった警備や請負業者らによって感染が広まったと言われている。東京も同じ轍を踏む危険性が非常に高い。

つまり、組織委やIOCが盛んに喧伝するバブル(泡)方式による五輪の安全な開催計画とは、選手村に隔離できるアスリートや関係者だけのもので、それ以外の人々の安全は、ほとんど保証されていないのだ。そこで感染が増加すれば、それは間違いなく都内の医療に重い負担となる。

7〜8月のコロナ第5波襲来が確実視される中で、これでどうやって国民の安心安全を守れるというのだろうか。開催するだけで感染拡大を誘発させる東京五輪は、やはり中止すべきである。


ページ上部へ戻る