海外観光客の受け入れ断念「五輪もどき」は中止すべき

3月20日、世界的なコロナパンデミックの影響を受け、ついに東京五輪の海外観光客受け入れ断念が発表された。橋本聖子組織委会長は「全く新しい形の五輪になる」などと述べ、国内観光客の受け入れ割合についても4月中に発表するとした(その後、5月に延期)。

インバウンド効果の消滅

5大陸の連帯を意味するシンボルマーク

この発表は非常に大きな意味を持っていた。なぜならこの決断によって、誘致以来、政府がことあるごとに喧伝してきた「インバウンド効果」が完全に消滅してしまったからだ。五輪開催による経済効果は数千億、数兆円などと言われてきたことは、皆さんもご記憶だろう。

新国立競技場建設等の建設関係の経済効果はすでに終わっているため、あとは来日する海外観光客(約1000万人)がもたらすインバウンド効果に大きな期待がかけられていた。それがいきなり「ゼロ」になったのだから、その影響は経済的にも心理的にも甚大である。

そのため、数百億円と言われる、海外で販売したチケットの払い戻し義務も生じた。だが4月になっても組織委は返金日程を発表しておらず、海外では組織委への不信と不満が渦巻いており、様々な海外メディアで報じられている。

平和の祭典としての"意義"果たせない

さらに、ことはカネの問題だけではすまない。五輪憲章にも記されている五輪開催の最大目的は、4年に一度世界中の人々が一堂に会し、友愛を育むことにあるからだ。海外客が来ないということは、その機会も消えたということになる。「おもてなし」というキャッチフレーズのもとに集められた11万人以上のボランティアの活動目的も、その大半は失われたと言ってよい。

様々なレベルでの人的交流は、五輪終了後に遺産(レガシー)となって、それが後々の経済的・精神的な効果にも繋がると散々喧伝されてきたが、それも消え去ったのだ。

つまり、五輪開催の意義は、経済的にも精神的にも失われたのであり、もはや開催する意味は完全に無くなった。

要するに、いま現在政府や組織委がやろうとしているのは、五輪の″ようなモノ〟であり、「似て非なるモノ」なのだ。

海外からの観客がいない中で行なわれる五輪は(最終的には無観客となり、国内観光客さえいなくなる可能性もある)、世界各地で通常行なわれている様々なスポーツ大会と同じで、特殊性も希少性もない、よくある選手権と同じになってしまったのだ。

だが、海外客を断念し、更に国内観客さえ断念しても、アスリートと関係者を合わせて約2万人の入国は確実だ。さらに、IOC関係者やスポンサー企業の招待者もやってくる。その数はなんと10万人を超えると言われており、そのような「五輪貴族」たちのためだけに「五輪のようなモノ」を日本国民の税金で開催するなど、愚の骨頂である。

まがい物となった東京五輪は、今すぐにでも中止すべきなのだ。

(毎月5日号連載)


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