今年7月に開催予定の東京五輪は、すでに国民の支持を失っている。毎日新聞が3月13日に実施した世論調査では、「予定通り開催すべきだ」は僅か9%にとどまり、「海外からの観客は入れずに開催すべきだ」が21%、「国内の観客も入れず無観客で開催すべきだ」は15%、「中止すべきだ」との答えが32%で最も多くなった。「再び延期すべきだ」の17%と合わせれば、49%が今夏の開催を望んでいないとする結果となった。他社の世論調査でもほぼ同様の結果が出ており、東京五輪はもはや完全に国民から見放されていると言えるだろう。

東京五輪の開催強行で国民が恐れる感染爆発

東京五輪が国民の支持を失っている最大の要因は、新型コロナウイルスによる世界的パンデミックが終息しない中で開催すれば、海外からの渡航者によって国内感染が深刻化することを、国民が恐れているからである。ワクチン接種は始まっているが、7月23日の五輪開会式から9月5日のパラリンピック閉幕までの期間までに多数の国民には到底行き渡らないことは、すでに明らかである。

途方もない税金の支出 コロナ禍で許されるか

それでも政府と東京五輪組織委員会(以下、組織委)、IOC(国際オリンピック委員会)は開催に固執している。今までに投じてきた途方もない税金と、スポンサー企業67社を中心とした民間企業による投資を無駄には出来ないという強迫観念が、なかなか中止を言い出せない空気を作り出しているのだろう。

2013年の招致決定以来、五輪開催を口実に投入されてきた税金はすでに1兆400億円以上(2019年12月の会計検査院報告)にのぼっている。これとは別に、東京都は約8000億円を道路や環境整備に費やした。これに、開催にかかる直接費用1兆6400億円を合算すれば、なんと3兆円を超える巨額が費やされるのだ。しかもこの金額は確定ではなく、コロナ対策とテロ対策のために、さらなる追加予算(税金)が必要と言われている。コロナ禍で国民生活が窮乏しているときに、たかがスポーツイベントに、こんな途方もない支出をすることが許されるだろうか。

思えば、東京五輪には様々な問題が指摘されていた。その代表的なものをあげてみよう。

  1. 招致活動における2億円の賄賂疑惑(フランス検察が捜査中)
  2. 招致における安倍首相(当時)の「福島原発はアンダーコントロール」の欺瞞
  3. エンブレム盗作問題
  4. 「コンパクト五輪」のはずが、際限のない予算の肥大化
  5. 新国立競技場建設をめぐる混乱と建設費用の増大
  6. 神宮再開発で霞ヶ丘団地住民の強制退去
  7. 11万人を超える無償ボランティア搾取
  8. 「復興五輪」のはずが復興の妨げに
  9. 選手村用地の不当廉売
  10. 酷暑下での開催で、選手・観客・ボランティアに熱中症の危険性

ここに挙げた様々な問題は、コロナ禍発生以前から指摘されていた。つまり、東京五輪はコロナ以前から、税金を投入して開催するには値しないシロモノだったのだ。この連載では、五輪の様々な問題とその深刻さを、分かりやすく解説していきたい。

著述家 本間 龍〈ほんま・りゅう〉

1962年東京生まれ。1989年に博報堂に入社し、2006年に退社するまで営業を担当。その経験をもとに、広告が政治や社会に与える影響を題材にした作品を発表している。著書に『原発広告』(亜紀書房)『原発プロパガンダ』(岩波新書)『電通巨大利権』(サイゾー)『メディアが操作する憲法改正国民投票』(岩波ブックレット)『ブラック・ボランティア』(角川新書)など』


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