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【理事長緊急談話】新型コロナ感染症「軽症・中等症は自宅療養」方針は直ちに撤回を。 ここまで国民の命を軽んじる政治は一新しよう。
大阪府保険医協会高本理事長が、新型コロナ感染症急増に対して「自宅療養を基本とする方針」について緊急談話を発表しました。
「入院は重症患者や、重症化リスクの高い者に限定する」。この国の方針に全国の医師が驚き、耳を疑ったことだろう。
菅首相は8月2日、新型コロナ感染患者を自宅療養とする方針を示し、4日時点では“撤回”の考えもないことを示しているが、今回の方針について新型コロナウイルス感染症対策分科会・尾身会長は「相談・議論したことはない」ことを4日の衆議院厚生労働委員会の閉会中審査で明かしている。これまでも菅政権は専門家の意見を “無視”し、科学的根拠に基づかない形で新型コロナ対策を進めてきたが、国民の命に係わる問題を官邸だけで進める専制的なやり方、そして命を守ることまで自己責任を押し付ける今の政治を許すことはできない。
今回の方針転換については、第4波で入院できない状態に陥った大阪の経験を踏まえたような田村厚労大臣の答弁もあったが、そもそも当時の大阪は自宅療養者が15000人を超え、入院率が10%まで陥った「医療崩壊」状態であり、17人が自宅で亡くなっている事実を、厚労省はどう総括したのか。今回の方針転換で中等症以上の患者まで在宅で診ることになった場合、患者の状態悪化が懸念されるほか、在宅患者を診る医療機関にも大きな負担がかかり、日常の地域医療にも大きな影響を与えることは必至である。ワクチン接種同様、新型コロナ感染症対策の失政を医療現場に丸投げする責任転嫁である。
症状の急変で命を落とす危険性がある軽症・中等症患者に最初から自宅療養を強要することは、国民の命を軽んじ、政治の責任に目を閉ざし、開き直っているとしか言いようがない。こんな政治は許されるはずがない。
政府は必要な治療を受けるために国民が入院できない状況に陥ってもなお、これまでの医療政策の失政を認めないどころか、病院の統廃合とベッドを減らす方針を撤回せず、さらに強要する方針を出している。こうした政治を変えるためにも、来る総選挙では多くの有権者は投票にいき、政治を変える一票を投じてもらいたい。
2021年8月5日
大阪府保険医協会 理事長 高本英司