保険診療 虫めがね No.65

新型コロナ感染症の診療、検査に関して会員医療機関より患者負担についてのご相談が寄せられています。コロナ感染症に関する3つの公費制度はいずれも法別番号「28」が割り振られていますが、今回は宿泊療養・自宅療養における公費負担医療を中心に概要を確認します。

①3月4日通知によるPCR検査等の補助

昨年の3月4日に、厚労省通知「新型コロナウイルス核酸検出の保険適用に伴う行政検査の取扱いについて」が発出されました。行政検査の委託契約の締結が前提となりますが、PCR検査等を実施した場合に検査実施料及び判断料の自己負担部分について補助されます。
※検体採取料の「鼻腔・咽頭拭い液採取」は対象外

なお、府においては、「医師が必要と認める場合には、症状の有無に関わらず保険適用で新型コロナウイルスの検査を行うことが可能」として、高齢者施設の新規入居者に対しては無症状であっても実施可能とする府の通知(令和3年2月10日発出・感対第6414号)が出されています。

②宿泊療養・自宅療養における公費負担医療

昨年4月30日の厚労省通知により、都道府県が実施する宿泊療養・自宅療養については、①の「3月4日通知によるPCR検査等の補助」に加えて、療養期間中の新型コロナウイルス感染症に関する医療行為については一部負担金が免除されます。

対象は以下⑴~⑶の要件を満たす場合となります。
⑴都道府県等の実施する宿泊療養又は自宅療養の対象となった軽症者等が受けた医療である

⑵軽症者等が都道府県等の実施する宿泊療養又は自宅療養を受けている期間に受けた医療である
※都道府県等による宿泊療養・自宅療養の認定前・解除後の医療は対象外

⑶新型コロナウイルス感染症に係る医療(往診、訪問診療、電話等情報通信機器による診療、訪問看護、調剤等によるものを含む)である
※当該軽症者等が宿泊療養・自宅療養解除のためのPCR検査については、3月4日通知によるPCR検査等の補助を優先して適用

法別番号は「28」、公費負担者番号は「28270601」(大阪府の保険医療機関の場合)、公費負担医療の受給者番号は「9999996」となります。

資格確認については、当該軽症者等が医療機関等を受診するにあたり「証明することができる書面」を、受診時に医療機関等に提示するとされています。大阪府では、保健所より「宿泊療養・自宅療養における医療費公費負担通知(新型コロナウイルス感染症)」が発行されますので、これを確認することになります。発行が遅れた場合などは、各保健所に個別に確認ください。

今後、軽症者は原則、宿泊療養・自宅療養するとの方針が徹底される見通しです。一般の診療所においても、往診や電話再診で軽症者に対応することが予想されます。本補助事業の資格確認にはご留意ください。

③感染症法37条に基づく公費負担医療(入院医療・既存)

「感染症法による一類感染症等の患者の入院(同法第37条)」に基づく補助は、従前からの制度です。昨年5月14日事務連絡で「緊急事態に該当する」として、感染症指定病院等だけでなく、一般の病院でも新型コロナ感染症患者の受け入れを行った場合に、適用される措置が取られています。この制度も法別番号は「28」です。

以上、3つの「28」制度については適用の優先順位があり、③、①、②の順になります。
また、他の公費負担医療制度との順番は、従前からの③と同じ扱いとなりますので、「保険診療の手引」2020年版のP1819をご参照ください。


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